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打球は快音響かせて
高校2年
第二十八話 まだゴールは先
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第二十八話



マウンドには、試合終盤からリリーフしている越戸。セットポジションに入ったひょろ長い体は、まるで柳の木のようである。

そこから突然ガクッと体が沈み、ギクシャクした、しかしそれでいて躍動感のあるモーションで細い腕が横に振られる。動きがせわしない割にはボールは低めに集まり、その軌道はシュート気味に沈み込む。

ガキッ!

打者はその捉えどころのないボールにどん詰まり、ボテボテのゴロをサードの飾磨が一塁に送る。

「アウト!」

「やったァー!」
「よっしゃァアーー!!」
「ナイスサードォー!!」

この試合二十七個目のアウトをとった三龍ナインは、これまでに増して大きな喜びの声を上げた。
越戸の回りにナインが集まり、ハイタッチを交わし合う。応援席も歓喜に包まれ、抱き合う姿が見える。

この試合は水面地区秋季大会の準々決勝。
そして、東豊緑州大会の、水面地区からの出場枠は“4”。つまりこの時点でベスト4入りした三龍は、6年ぶり州大会の出場が決定したのだ。
州大会の結果は春の選抜甲子園の出場校決定に直接関わってくるので、何とか三龍は甲子園への可能性をつないだと言える。そういう事もあっての、この歓喜だった。

「いきなりベスト4かよぉ…」

バックネット裏の観客席で試合を見る乙黒は、つい最近まで自分が率いていたチームながら、スイスイと勝ち上がる様子に驚きを隠し切れない。
そしてそれを率いる浅海にも。

「…やっぱあいつ、監督としての才能あるんやな〜」

もう乙黒の中にわだかまりは存在しなかった。
ただただ、感服していた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「あー緊張したわー」
「どこの取材?」
「日間スポーツの。」

試合後、球場の観客席で昼食をとっている三龍ナインの元に美濃部、渡辺、浅海が戻ってきた。
雑誌の取材に応じていたらしい。女性監督就任後すぐのベスト4、そして州大会行きだから、なるほど記者としても興味深いチームだろう。

「こんなあっさり州大会行けると思うてなかったわ〜」
「ホント。高校生活でいっぺんもないと思ってた。」

この快進撃は本人達にとっても予想外だった。
その為か、チームにはどこか、満足したような空気が漂っていた。それもそうだろう。高校生が結果を出して浮かれない訳がない。

「次勝たな意味ないんやけんなァ!」

……京子以外は。
京子は皆の前に躍り出て、小さな体に似合わない大声で、腑抜けた顔をしているナインを叱咤し始める。

「帝王大!もしくは海洋!準決で当たるこの御三家のどちらかに勝たな、前のチームと変わらんけ!ただ組み合わせに助けられただけって事になるんやけ!」

京子が指差したグランドには、マリンブルー
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