第百六十話 四人の男達その五
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「では」
一斉に応えてだった。
百地に頷きそのうえでそれぞれの持ち場に向かおうとする、しかしその前に百地は三人を呼び止めこう告げた。
「影共で数は増やしておるがな」
「はい、二十万にですな」
「そうしていても織田家は強い」
「戦上手ですな」
「そうじゃ、だから負けてきた」
織田家の兵が弱いことは彼等もよく知っている、普通に戦えば武田や上杉とは比べものにならない。しかしだというのだ。
「伊勢でも近江でも越前でもな」
「そして加賀でも」
「比叡山でもでしたな」
「それを見ればですな」
「織田家は武器がよく将師もよい」
この二つがいいというのだ、織田家は。
「だから強いのじゃ」
「そのことを踏まえてですな」
「戦うべきですな」
「その通りじゃ、御主達もな」
百地の下で兵を率いる彼等もだというのだ。
「ここはよいな」
「はい、では」
「兵法で戦うのですな」
「そうせよ」
まさにだというのだ。
「ここはな」
「わしは思いきり攻めたいですな」
石川は大きな声で百地に告げた。
「そうしていいですか」
「兵は四つに分ける」
百地は石川の問いにすぐに答えずにまずはこう言ったのだった。
「御主達には四万ずつ与える、わしは十二万を率いる」
「ではその四万を」
「わしが率いる十二万の本軍の前に置く」
そうするというのだ。
「だからな、その四万はな」
「はい、わしが自由に使っていいですな」
「本軍の動きを見てな」
そのうえで自由に動けとだ、百地は石川に告げた。
「よいな」
「わかりました」
「では我等もですな」
「その四万の兵を自由に率いてよいと」
「その通りじゃ」
まさにそうだとだ、百地は楯岡と音羽にも告げた。
「御主達もその四万の兵でわしの本軍と共に戦え」
「わかりました、では」
「そうさせて頂きます」
「天王寺の砦にいる兵は我等より少ないがのう」
見ればその数自体は六万程度だ、確かに彼等が率いている二十万の大軍と比べるとその数は微々たるものである。
しかしだ、それでもだったのだ。
「堅固な陣じゃな」
「そうですな、あれは」
「砦を軸に実に堅固です」
三人も織田家のその陣を見る、砦を軸として実に見事な守りである。
その陣を見てだ、楯岡も鋭い目になり言った。
「横に回り込み斬り込むことも」
「難しいな」
「はい」
楯岡は己の読みを百地に述べた。
「これは」
「だからじゃ、攻めても陥とせぬならな」
それならばだというのだ。
「すぐに織田信長が率いる本陣が来る、織田軍は弱いが動きは速い」
行軍が速いのだ、だからだというのだ。
「敵の本陣が来ればな」
「その時はですな」
「我等は」
「その数九万、しかも左右には長宗我部
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