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麗しの王
第二章

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第二章

 王はだ。その彼等にも言うのだった。
「ならん」
「それはですか」
「駄目だというのですか」
「そうだ、駄目だ」
 王はまた言った。
「それはだ。何があっても駄目だ」
「それは何故でしょうか」
「一体」
「少しでも注意をせず刑罰を緩くすればだ」
 その場合はどうなってしまうのか、王はこのことも話すのだった。
「それだけでそなた達も臣民達も油断するな」
「そしてそれによってですが」
「奇麗にしなくなる」
「そう仰るのですね」
「その通りだ」
 その声はやはり厳しい。
「だからこそだ」
「左様ですか」
「どうしてもなのですね」
「臣民達の税は軽くしてある」
 これは事実だった。彼は決して悪政を敷いてはいない。国を美しくし豊かにするということでは確かに善政である。しかしなのだった。
「暮らしは辛くはない筈だ」
「生きるにおいてはです」
「何でも食べられます」
「着るものも奇麗で」
「衛生的にも問題はありません」
「では何の問題もない」
 王はそれで充分だと言うのだった。
「違うか」
「ううむ。そうですか」
「それでなのですね」
「このまま」
「そうだ、このまま厳しくいくぞ」
 彼の考えは変わらなかった。そのまま厳格な統治を続けていく。世界から美術品や芸術品も集まりそれを見る為に観光客も集まってきた。しかしだった。
 どの観光客もだ。辟易して言うのだった。
「ここはな」
「生きにくいな」
「ああ、もう一度来るとなるとな」
「苦しいな」
 これが彼等の言葉だった。
「美術品はいいんだがな」
「街も奇麗だしな」
「けれどやっぱりな」
「そうなんだよな」
 ここで彼等の言葉が変わる。
「住んでみたい国じゃないよな」
「本当に絵を見てるだけだよな」
「何だよな、これって」
「生きてるって感じがしないよな」
「ああ」
 こう言うのだった。観光客は二度来る者は少なかった。
 それで美術館等も今一つ入りが悪かった。王はこのことに不思議なものを感じていた。
 それでだ。こう家臣達に問うのだった。
「何故だ、あれだけ美しい場所に人が集まらないのだ」
「確かにあまり振るいませんね」
「そうですね」
 家臣達も王の言葉に答える。
「ですがこれは不自然ではありません」
「当然だと思います」
「これは」
 こう王に話すのだった。
「ですからこれはです」
「どうするべきかですが」
「ここは」
「何故そうなる」
 王はあらためて家臣達に問う。
「不自然ではなく当然と言うが」
「はい、左様です」
「その通りです」
 また答える家臣達だった。

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