第二章
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百貨店の中を瞬く間に占拠してしまった、店の中に不穏な空気が満ちだしていた。その中には勿論当z者達もいた。
宮坂と渡部の耳にも入った、それでだった。
二人は共に店長室で仕事の打ち合わせの合間にだ、お互いにこれ以上はないまでに顔を顰めさせて話していた。
応接用のソファーに向かい合って座ってだ、ダンディな趣の宮坂ががっしりとした渡部にこう言った。
「おい、あの噂な」
「ああ、あれか」
渡部も応える、二人共表舞台では店長と副店長として敬語で話すが二人になったりプライベートでは完全にタメ口だ。
「俺の女房の話だな」
「俺の女房もな」
宮坂も言う。
「もっと言えば幸子だよ」
「美奈代な」
「何であいつが浮気するんだ」
「それは俺も思ってるよ」
「あいつが浮気なんかするか」
「美奈代がそんな女か」
二人は愛する妹達のことだから余計に言うのだった。
「全く、何処の馬鹿が最初に言ったんだ」
「ふざけた噂流しやがって」
「俺は誓って言うからな」
「俺もだよ」
本当に二人共言う。
「俺の妹、御前のかみさんは浮気なんかしないからな」
「俺もそう言うよ」
「あいつがそんな馬鹿女か」
「あのな、美奈代は御前しか見てないんだよ」
「それは俺も言うからな」
「俺もだからな」
二人共全く同じことを言った、自分の妹即ち今自分の目の前にいる相手の妻は浮気なぞしないとだ。断言した。
それでだ、その断言の後で渡部から言った。
「とりあえずな」
「ああ、何だ?」
「美奈代が誰かと会っていたのは確かみたいだからな」
「喫茶店なりバーなりでか」
「幸子もな」
つまり自分の妻であり宮坂の妹でもある彼女だ。
「それは間違いないらしいからな」
「その辺り調べるか」
「ああ、何処の誰かと会っていたかな」
「そうだな、そこを調べるか」
「それなら話は簡単だ」
渡部は相棒、自分の義理の兄であり義理の弟でもある彼に言い切った。
「二人にそれぞれ探偵をつければいい」
「それで何時誰と会っているかをだな」
「調べてもらうんだ、簡単だろ」
「そうだな、二人が噂を聞いてそいつ等と会わなくなるまでにな」
「その前にだ、いいな」
「わかった、じゃあすぐに手を打つか」
つまり探偵を雇う、このことを決めてだった。
二人は探偵を雇いそれぞれの妻であり妹である幸子と美奈代の行動を監視してもらうことにした。そのうえでとりあえずは彼等の仕事に戻った。ただその間もそれぞれの妹達と頻繁に合い何と世話を焼いたり話をしていた。喫茶店やバーを舞台として。
そうして二十日位経って探偵から報告が来た、その結果は。
幸子と美奈代も浮気はしていなかった、会っている相手は。
「何と、男は俺達だけか」
「そうだな、会っていたの
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