第30話「麻帆良祭〜戦うタケル〜」
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にタケルの声が反響し、木霊した。
「……」
沈黙が流れること数秒。
「さすがだな、大和先生。気配は消していたつもりだったが?」
スナイパーライフルを手放し、懐から2丁拳銃を取り出す。会話をしながらも油断する様子のない彼女に内心で舌を巻いて質問に答える。
「キミとは多分相性がいいんだろう」
「……相性?」
「ああ、俺は相手の殺気にだけは敏感だからな」
タケルの答えに、だが龍宮は首を傾げる。
「私から殺気が漏れていたと?」
「いや、銃から」
それは本気か、冗談か。
本来、無機質な存在である銃からそんなものを感じ取れるはずがない。
だが。
「……なるほど」
彼女はまるで納得がいったように頷く。
タケルがまだ子供と称される時から今まで3年間。その常を死地に赴いてきたように、マナもまた幼少の頃から死地を駆け巡っていた。そんな殺伐とした世界を誰よりも知っている二人だからこそお互いに通じるものがあるのかもしれない。
「……こうやって生徒との意思疎通を交わすのは教師としては悪くないが・」
言葉とは裏腹に武器を手に。
右手にはYガン、そして左手にはXガン。タケルも2丁の銃を。
「……ほう、先生は刀を使うと把握していたが?」
面白そうに呟く彼女に、言う。
「どっちも、だ!」
言葉を皮切りに、龍宮の拳銃が火を噴いた。
「なに!?」
「これでキミも戦線離脱だな」
「……一体何を?」
疑問で頭が一杯になっている彼女に、タケルは言う。
「……さぁ?」
手品士がタネを明かさないように、戦略家がその手の内を見せないように。彼もまたおどけて笑う。
その様子に「ふっ」と小さく笑みを浮かべて龍宮は時空の波に飲み込まれていった。
「……ふぅ」
小さくため息を吐く。
――賭けは俺の勝ちだったな。
結論から言ってしまえば、勝負は一瞬でついていた。
ただ、これだけは言及しておかねばならない。
龍宮マナはおそらくタケルが今までに相対した人間の中でも最も強敵だっただろう。ガンツスーツを加味した上でも下手をすれば負けてしまうこともあるほどに驚異的な実力者だ。
だが、勝負が混戦することがなかったのは一重に情報量の差と、なによりも今回の状況が大きく関係していた。
マナの主武装は強制時間跳躍弾。それには超鈴音の計画、出来るだけ怪我人を出さないようにという配慮があった。
この武器は確かに相当に有効な代物といえる。着弾時周囲1Mを巻き込み無傷のまま転送。まさに防御不可。距離を取って回避するか遠距離で弾くしか防ぐ術がない。
厄介すぎるその武器の、
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