暁 〜小説投稿サイト〜
少年少女の戦極時代U
オリジナル/ユグドラシル内紛編
第48話 CASE “Hexa” A
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事実が出てくるかもよ」
「いや、です」

 碧沙は喉からようよう声を絞り出した。

「その新事実が、何かユグドラシルのためになって、めぐりめぐって咲たちをキズつけるかもしれない。そんなこと、わたし、イヤです」

 すると凌馬は堪えきれないように笑い出した。

「見かけによらず優しいとこは、さすが貴虎の妹」
「貴虎兄さんはいつだってやさしいです」
「かもね。私も最近になってそんな気がしてきてる。いや、あれは――甘いと言うべきかな」

 兄を侮辱され、碧沙はつい凌馬を睨んだ。だが凌馬はどこ吹く風というふうにお手上げのポーズ。

「――、帰ります」

 碧沙はバッグを持って立ち上がり、凌馬に深く礼をした。

「おいそがしい中、時間を下さって、ありがとうございました」

 踵を返そうとした碧沙の、両肩を、後ろから湊が掴んだ。

 え、と見上げると、湊はにっこり笑って、碧沙の両肩に圧をかけた。碧沙は再びパイプ椅子に座らされた。

「え…え?」
「まだ帰っていいとは言ってないよ」

 凌馬はオフィスチェアを立ち、両肩を押さえられた碧沙のアゴを指で持ち上げた。

「キミには大いに価値がある。ヘルヘイム感染しない人間なんて、これを逃せば後にも先にもそうお目にかかれない」
「わた、わたし、イヤって」
「聞いてあげるとは誰も言ってないよ」

 にっこり。凌馬はまるで、碧沙たちの年頃の少年のような笑みを浮かべた。
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