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とある科学の第六位
第一話『紫の第六位』
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じていなかった。理由は分からないが、天野叢雲の何らかの能力が影響していることは確かだった。

私は白井黒子の出血の様子を見ると、迅速にその場から立ち去った。

やや足早に道路を歩き、思考を巡らせる。
(白井黒子は恐らく死なないだろう。彼女は現役風紀委員だし、周りに女学生がたくさんいたから、誰かが救急車を呼んで彼女は助かる。
そして私は学園都市から脱出し、万事解決……)


***


細い路地にいた天野叢雲はふと足を止めた。気がつけば叢雲は第10学区にいた。もっとも、本人はその事に気づいていないようだが。
ちなみに第10学区とは、原子力研究施設や細菌関連研究施設など、様々な研究所が集約されていて、大規模廃棄物処理場や実験動物処分場なども存在している学区だ。学園都市唯一の墓地もこの学区にあり、少年院もこの学区に設置されている。

叢雲が足を止めたのはもっと別の理由だった。
(尾行されている……)
叢雲はため息をつくと、ゆっくりとした動きで後ろを振り返った。
「どなたですか?さっきから私の後ろでチョロチョロしているのは」
叢雲の視線の先、数10メートル離れた交差点。
一台の軽トラックが左折し、叢雲のいる方へ前進し始めた。
そして、あろうことか躊躇なく速度を上げる。叢雲は軽トラックを睨みつけ、
「無人トラックか……」
その間も、軽トラックは速度をあげる。

軽トラックが叢雲に触れるその瞬間!軽トラックが霧散した。一欠片も残さず。だが叢雲は指一本動かしていなかった。
叢雲は涼しげに微笑む。そして口を開く。
「学園都市第一位、一方通行(アクセラレータ)

「いつから気づいてたンだ?」

気が付くと、叢雲の背後に1人の少年が立っていた。
そう、


一方通行《アクセラレータ》が。

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