オリジナル/ユグドラシル内紛編
第46話 コドモ目線
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「葛葉と行かなかったのか」
「紘汰くんは心配だけど、お兄さんも同じくらい心配だから」
「すまない」
謝らなくてもいいのに。これは咲が選んだことなのだから。
「オーバーロードのこと、ちゃんと紘…葛葉さん、から聞いて、ます。伝えれ、伝えられると思い、ます」
湊に睨まれる。「よけいなこと言ったら、分かってるわね、お嬢さん?」と目が語っていた。
体は素直で、一歩引いていた。だが室井咲は根性で踏み止まった。
(だって、ここでお兄さんから目はなしちゃったら、お兄さん、クビにされるとか閉じ込められるとか、されちゃうかもだし。あたしがしっかりしなきゃ。ヘキサだって光実くんの横でがんばってるんだもん。あたしが貴虎お兄さんを守ってあげなきゃ)
「一度本社に戻って、凌馬とシドも呼んで話す。それが終わるまで、いや、終わってからも、葛葉紘汰と室井咲への敵対行動は禁止する」
「――、主任がそうおっしゃるのでしたら」
湊は、第三者の咲だから分かる程度の小さな不満を呈し、貴虎に礼を取った。
「すまないが、室井くん、付いて来てくれるか」
「は、はい」
湊が一番に踵を返した。続く貴虎。その大人たちを追う形で咲も歩き出した。
ヘルヘイムの森からラボに戻るなり、湊のスマートホンが鳴った。
湊は離れ、それに出て受け答えをいくつかしてから戻ってきた。
「申し訳ありません。プロフェッサー凌馬に急な来客だそうで。そちらの対応に行かなければいけなくなりました」
「分かった。それが終わったら、凌馬に私の部屋に来るよう伝えてくれ。もしシドに会えるようなら奴にも。私も会ったら伝えておく」
「畏まりました。失礼します」
湊は足早に、真っ赤なラボを出て行った。
湊はいなくなった。自分はどうすればいいのか? そんな気持ちを込めて咲は貴虎を見上げた。
「私のオフィスで待とう。付いて来なさい」
貴虎が歩き出したので、咲は付いて行った。ラボ内の研究員の視線が落ち着かなかったので助かった。
ユグドラシル・タワーに来たのは、紘汰や戒斗と捕まった時の一度だけ。こうして落ち着いて内装を見ながら歩くのは、咲には初めてのことだ。
会社、という場をまず見ることがない小学生の咲からすれば、タワー内はまるで斬新なテーマパークだった。
「どうかしたか?」
「あっ、その…広くて、人がいっぱいで、すごいなあ、って」
「これくらい大したことはない。ここは支社だから人も多くないしな」
「……でもあたしにはめずらしーんだもん」
ふて腐れてそっぽを向いた。ガラスの壁の向こうには、働きアリのように忙しなく動き回る人々。こんな景色はテレビでも教科書でも見たことがない。だからすごい、と素直
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