第四章
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第四章
「だからですね」
「だから?」
「だからっていうと?」
「私もやりますから
こう言ってだった。彼もだ。
あらゆることをした。そうしてその日は終わらせた。そして次の日だった。
この日も仕事だった。彼は朝になるとすぐに家を出て王宮に向かおうとする。その彼に近所の者達は心配する顔で声をかけた。
「今日位休んでもいいんじゃないのかい?」
「そうだよ。あんなことがあった次の日だし」
「今日はせめて家でゆっくり休んで」
「そうしてもいいんじゃないかい?」
「私の仕事で皆さん笑ってもらえるので」
しかしだった。ジュゼッペはその彼等ににこりと笑ってこう言ってみせたのである。
そしてだ。彼等にだ。彼はこんなことも言った。
「ですから道化としてです」
「行かれるんですか」
「お仕事に」
「はい、そうします」
笑顔はそのままだった。
「それでは今から」
「そうですか。それじゃあ」
「頑張ってきてくれよ」
「今日もな」
「はい、それでは」
こう話してだった。彼は宮廷に出て着替えて化粧に入る。だが宮廷でもこのことは知られる様になっていてだ。メイド達も心配する顔で話す。
「ジュゼッペさんだけれど」
「そうよね。奥さんお亡くなりになられたけれど」
「物凄い愛妻家だったんでしょ?それじゃあ」
「大丈夫かしら」
こうだ。彼について心から心配していた。
そのうえでだ。彼女達も言うのだった。
「せめて暫くの間ね」
「そうよね。お仕事休まれたらいいのに」
「とてもお辛いだろうに」
「それでお仕事なんて」
「無理されてるんじゃないかしら」
彼女達はこう考えていた。しかしだ。
化粧も整えたジュゼッペはだ。にこりとしてひょうきんな動作をしていた。いつもの彼だった。その彼がメイド達に話すのであった。
「さあ、今日も頑張りましょう」
「あの、ジュゼッペさん」
「本当に大丈夫ですか?」
「本当に暫くの間でも」
「御一人で」
「大丈夫ですよ」
にこにことしながら言うジュゼッペだった。それは化粧だけのものではなかった。
「ですから今日も」
「そうですか。そう仰るのなら」
「私達はいいですけれど」
「それじゃあですよ」
「くれぐれも無理はなさらずに」
「無理なんてしていませんよ」
またこう言うジュゼッペだった。そうしてだった。
彼はこの日も笑顔になりだ。そのうえで道化の仕事をした。そのうえで宮廷の者達を笑顔にさせていく。メイド達はそんな彼を見て安心した。
しかしその彼を見てだ。宮廷の主である王はこう周りに言った。
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