第二章 八話 ネージリンス・ジャンクションへ
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は大臣なる人物、つまり角付き仮面型ヘルメットの男に指を突きつけた。
「ふん、なにを言うか。貴様はここで死ぬのだ。撃て!」
「王子はやらせぬぞ!」
「ぬうん!」
ローブの老人が兵士の群れの一角に踊りかかり、ゴツいおっさんが手近にいる兵士を次々と殴り倒す間に王子は逃走した。
「追え、追うのだ!」
「大臣閣下!この者達は…」
多勢に無勢で袋叩きにされた老人とおっさんを縛り上げながら兵士の一人がそう聞いた。
「殺せ。罪目は、反逆罪だ。王子は、こやつらによって暗殺されたと公表せよ」
「ハッ!」
そして二発の銃声。倒れる老人とおっさん。
場面が切り替わり、さっきの王子が青と赤の二色のアニメ的背景の中央にたってポーズをキメていた。
ここでCMである。缶コーヒーの宣伝だった。
「……なんなんだ、これ?」
「ドラマだろ。どうもB級らしいが」
白野は嘆息する。ドラマにせよ、現実にせよそういうドロドロした陰謀劇という奴はありふれてあるのである。
ともかく、彼は既にドラマなどに現を抜かす歳でもない。
「…ん?」
チャンネルを変えようとすると、画面にザラザラとした砂嵐がちらつき始めた。ネージリンス放送局の放つ電波が届かなくなって来ている証拠であり、同時にネージリンス・ジャンクションへのボイドゲートにが近づいてきてもいる。
「そろそろか。おい、ゲイケット。ゲート突入準備だ」
「了解。周辺索敵開始…障害物ナシ。オールグリーン」
「ゲート、確認した。軸線合わせ、進入角度再計算…軌道調整」
何度となく繰り返してきたゲート突入の際の標準的な手順である。
周りにデプリなりなんなりがないかレーダーで確認し、ゲートに進入する際は微速前進。これは、進入してゲートから出た直後に何か障害物にぶつかるリスクを減らすためのものである。
同じ質量の物体に衝突するにしても、速度が遅ければ被害は少なくなるのである。0Gドッグの基本的艦船運用である。
ユニコーンはその船首をゲートのど真ん中に向け、前進して行く。
やがて、ゲートに進入すると電光を上げながらその銀色の巨体をすいこんでいく。バウンゼィもそれに続いた。
理論上ゲート通過の際にかかる時間は限りなくゼロに近いとされている。ゼロ近いだけで確実に存在してはいるのだが…
ともかく、ユニコーンとバウンゼィは無事にゲートを通過し、ネージリンス本星からネージリンス・ジャンクションへと移動した。だが、彼らの旅はここからが本番と言って差し支えないだろう。
続く
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