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宇宙を駆ける一角獣 無限航路二次小説
第二章 八話 ネージリンス・ジャンクションへ
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「了解した」

ゲイケットは艦内放送で出港時間を連絡していた。

「総員に連絡、出港時間は本日20時25分。各員それまでに休憩をすませて…」



ユニコーン 医務室

ユニコーンの医務室に陣取る白衣の天使もとい白衣の女医、アンヌ・ジャン・エーヴァはここのところある研究に没頭していた。彼女は大マゼランでは白野とあるミッションの際に偶然知り合い、彼や0Gドッグの行動を【観察】するためにユニコーンに乗り込んでいたのだが、最近はある薬品の研究に没頭していた。
ある種の新薬なのだが、どうも実験体のマウスとは相性が悪いようで死にはしないものの身体中が禿げ上がるという悲劇に見舞われてる。

「実験体その一…脱毛反応あり…失敗」

エーヴァはメモをとってケージの中のマウスを観察しながら呟く。観察を終えると、ケージからマウスを引っ張り出して備え付きのリジェネレーション・ポッドに突っ込んだ。ポッドが作動し、マウスの毛が再び生えてきた。
薬品は一度体内に取り込まれると完璧に分解されるタイプであることだし、宇宙を旅している以上そう簡単に実験体のマウスを使い潰すわけにもいかないのでこういう方法をとっている。本来ならできないことである。

「実験体その二…変化なし。経過を待つ」

…それからしばらくして。

「実験体その十五…【毛の増量】確認。ある程度の成功を収める。試薬サンプルは実験体十五に採用したタイプを軸に改良を加える方針で…」

ズバリ、彼女の研究している新薬とは【頭に塗ると好きな髪型になる】という効用が出るものである。まさかそんなバカなことをと思うかもしれないが、彼女としては抜け毛に悩む三十代のクルーが彼女に育毛剤を貰うべく大挙して現れるという忌むべき記憶からこの薬の開発を決意したのである。それを誰が責められようか。

「実験体全二十体の内効果ぎ確認できたものは二体…手探りにしては上出来か」

彼女は机の上にあるPCを起動させると、今回の実験結果をまとめてレポートを記入し始めた。薬の完成はまだ遠いようである。



惑星ニーズ 宇宙港

20時25分、ユニコーンは五分前に出港した民間商船とぶつからないように注意しつつ出港した。無論、その後にギリアスのバウンゼィが続く。
今回は、ニーズ近くにあるボイドゲートを通ってまずネージリンス・ジャンクションへと赴くことになる。ネージリンス本星からエルメッツァへの直通ルートはない。まずはジャンクションを経由して、それからエルメッツァへ行くこととなる。旅路は長いことになりそうだ。

「…」

ユニコーンでは白野が操艦ハンドルを握って出港直後のトラブルに見舞われないようにユニコーンを巧みに操っている。実に滑らかな操艦である。

「あいむしんぐと
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