第二章 八話 ネージリンス・ジャンクションへ
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で、何処に行く」
「そうだな…」
白野はおもむろに懐から一枚のコインを取り出した。
「表ならカルバライヤ、裏ならエルメッツァだ。いいな?」
「いいんじゃねえの?」
「よし、では投げる」
ピーンと小気味好い金属音を立てて白野の手からコインが放たれる。
コインは空中で数回回転した後、人工の重力に引かれて落ちてきた。それをうけとめる。
「裏か。エルメッツァだな」
「あいよ。んじゃ、俺はバウンゼィに戻るぜ」
「出港準備、しておけよ」
「わーってるよ」
ギリアスは片手をヒラヒラ振りならがブリッジから去って行った。
「エルメッツァ…」
白野はこれから滅びゆく国へと赴くのである。滅ぼす国の皇太子候補を連れて…
*
ユニコーン 食堂
何はともあれ腹ごしらえということで、白野は食堂へやってきていた。
そこで珍しくラーメンをやめてサンドイッチをかじっているところに、シフトが終わって休憩時間になっていたフー・ルートンがやってきた。
「よお、艦長。調子はどうだい」
「フーか。そこそこだな。そんなことよりも、これから行くところが決まったぞ」
「へえ、どこだ?」
「エルメッツァだ」
サンドイッチ二枚目をかじりながらそう告げた。ルートンは白野の席の正面に腰掛ける。両手で持っているトレーには大盛りのフライドポテトとチキンが乗っけられた皿がでんと鎮座している。
「エルメッツァねぇ…ニュースみてるとだいぶきな臭えらしいが」
「ほう、きな臭い?」
「なんでもエルメッツァ中央の外れにあるアルデスタとルッキオってぇ自治国がどっかの星系の資源採取権を奪い合って睨み合ってんだとよ」
「ほう…それは興味深い内容だな」
「艦長、なにかんがえている?」
白野のサングラスが怪しくギラついた。
「ん?いやどさくさに紛れてそこの星系の資源を」
「ああ、わかった。艦長が抜け目無いことはよくわかった」
「才能だけで二十前半の男がランカーになどなれんさ」
「そうだな…二十前半?」
「俺は老け顔なんだ」
「そうか…てっきり三十後半かと…」
「0Gドッグに歳など関係あるまい。現に、ギリアスを見ろ。まだ未熟だがそこらの0Gドッグよりも奴は遥かに強い」
ルートンはチキンをかじりながら頷く。
「確かにあいつぁやるようになったな。最初はコテンコテンにされてたが、今じゃ俺から教えるようなことがねえくらいになりやがった。若さってやつか…」
「若さか…そうだな」
白野は最後のサンドイッチを水で流し込んだ。
「さて、俺は出航準備に行こう。お前もやり残したことがあるなら出航時間前まで終わらせておけ」
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