第二章 終わらせし者と月の女神
第五話
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……と、ところでだなその格好はなんだロキ」
「姉上と喧嘩して、今日一日はこの格好で過ごさぬと許さないと言われたので……」
そうロキが言ったところで、王とエルトシャンは笑いをこらえきれなかったのか、箍が外れたように笑いだした。メウスはかろうじて笑わぬようしているが、それもきっと我慢の限界であろう。ロキは、女装をさせられていた。
ロキの顔も次第に赤く染まって行く。ある程度、その笑いも収まると王はロキに訪ねた。
「そうか、そうか。しかし、なんでまたヴェルダンに?」
「それは、私が考えている策があるためです」
「ほぅ、策とは。面白い言うてみよ」
「はい。私と兄上がヴェルダンに行きます。そこで私たちが兄弟喧嘩をするのです。内容は私がシャガール王子の悪口を言い、兄上がそれを諌めるというもの。そしてそれは、一晩であっという間に噂になり私たちの評判を下げる。ヴェルダンは、非常に野蛮な思考の偏りかたをしている者達が多い。その噂を元に私たちを侮辱すれば、同盟関係は即破棄。何らかの合図をもってそのことをアグストリアに伝える。もし、これが失敗しても損をするものはいないと考えます」
ロキの策は正に毒のようなものであった。まさかの父も兄も急に弟がこのような謀略を論じてくるとは夢にも思わなかったであろう。その横で、メウスはゆっくりと首を縦に動かしていた。
「誠、面白い謀略ですの。多少荒削りではあるが、才能を感じられます。ここは王も一考をされてはいかがでしょうか?」
「そうだな、そうしよう。ロキ、ひとまずその格好を戻したら、私のところへ来なさい。話がある」
「はい」
ロキの返事をもって、この場は解散することになった。
「いかがして、あのような策を思いついた?」
「それが、私にもわかりません」
「わからんとな? どういうことだ?」
「あの場に来る直前まで、なにも考えていなかったのですが、あの場に立った瞬間にあの策が閃いたのです。それこそ、天啓のように」
「閃いた策が、謀略とはなんとその天啓を下さった神は恐ろしいことだ。しかし、悪くはない策であるとも思う。しかし、その策が嵌るかといったら可能性は低いであろう」
「ええ、それは承知しています。相手はバトゥ王ですからね。気を引き締めなければなりません」
「そうか、それがわかっているのならいい。よし、策を行って来い。失敗しても誰もなんも言わんし、成功したら褒めるまでのことよ。領地が広まるのはいい事であるしな」
「はい、ありがとうございます」
こうして、ロキのヴェルダン行きが決まった。ノディオン王は直ぐに、アグスティ王国への使いをだしイムカ王への策の献上を行った。直ぐに返答が届き、帰
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