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春から秋に
第五章
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ている米を見て言うお爺さんだった。
「かかしもあるけれどな」
「気休めですからね」
 見ればもうかかしがある。しかしそれでも来るのが雀だ。雀とて馬鹿ではない。かかしがあろうとも見破って米にたかるのである。
 それがわかっているからだ。お爺さんは。
「今年もな」
「網をですね」
「ああ、張ってな」
「それと目玉も置いて」
 ビニールの黄色い大きな目玉だ。雀だけでなく烏も驚かせてそれで寄せ付けないのだ。鳥への備えも厳重にしているのだ。

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