第二話
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「でもこれといった功績も無いのよね」
ぎゃふんと机に潰れるのを無視して続ける。
「まあ、今のところ立候補すると思われてる中に強力なライバルになりそうなのは居ないからサミが勝つのは難しくないでしょうけどね。問題もあるのよ」
「えっ、何かあったっけ?」
「人事よ、役員の人事」
「そんなの今の人達でいいじゃない」
「お馬鹿さん」
「何よぉ」
「ゴルネオ先輩とか卒業する人が居るでしょ。代わりの候補者を見つけないと駄目でしょうが」
何人かいなくなる中で最も重要なのはやはり武芸長だ。世界全体の傾向がどうであれ現在必要とされている現実と長い間に出来た武芸長重視の序列はそう簡単に変わるものではない。
「じゃあレウは誰がいいと思うのよ」
自分で考えもせずノータイムで聞き返してくるサラミヤに頭を押さえながら答える。
「はっきり言って候補は一人だけ、第十七小隊のニーナ・アントークよ」
ゴルネオだけでなく第十四小隊のシン・カイハーンや第三小隊のウィンス・カラルドも共に卒業を迎え他の小隊長にめぼしい人物が居なくなるからだ。
「でもでも、他にも有名どころはいるでしょ」
「無理、ニーナに勝てる程じゃない。対抗できるとすればレイフォン・アルセイフかクラリーベル・ロンスマイアでしょうね。知名度や実力は十分でも彼はまだツェルニに戻って来てないし彼女は来年二年生、若すぎるし一般生徒受けはいいでしょうけど武芸科からの反発は大きい筈よ。それを考えると実力とかからいってもニーナ以外あり得ないわ」
それに落ち着きも増したしね、とは心の中でだけで続ける。前回は猪突キャラは二人も要らないと候補から外したが、何があったかこの一年で随分と落ち着きと貫禄が備わってきた。
変わってないサミとは大違いね、とも思う。
「そう、わかったわ」
「えっ」
「というわけで武芸長になってくれない」
「はいっ?」
思い立ったが吉日、というか善は急げ、というか思考と行動が直結しているサラミヤに引き連れられニーナの教室(レウの教室でもあるが)に来ていた。
開口一番前振り無しでのことにニーナも眼をしばたたかせている。このままでは仕方がないので代わってレウが説明をする。
「ほらそろそろ選挙じゃない。それでゴルネオ先輩も卒業でしょ、だからよ」
「ああ、そういうことか。しかし早いな、まだ先の事だろうに」
理解が追いついたニーナ、ただニーナが言ったことももっともである。毎年のことで皆分かりきっているがまだ日程が発表されてもいないのだ。
「仕方ないじゃない、他に適任者が居なさそうなんだから早目に押さえておくべきでしょ」
同一人物が複数の候補者陣営の予定リストに載っていてもなんの問題も無いが、先に押さえられている、ということは一種のプレッシャーにはなる。
「
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