高校2年
第二十七話 最低限
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ット一本だけばい。他にもっと打ちよる奴ば居るんに。宮園や鷹合を下位に置いとく理由ある?」
「まぁ、打力そのものはそいつらの方が上だろうな。でも4番は太田が良いんだよ。」
乙黒の問いに、浅海はすっとぼける。
「おいおい、とぼけんで教えーや。俺に隠しとっても意味なかろーがよ。」
「いやいや、それくらいちゃんと子どもらを見てれば分かる事だろう。むしろどうして分からないんだよ」
浅海にやり込められ、乙黒は少々むくれながら考える。考えた末に、一つの答えを出した。
「まさか、太田と浅海は付き合って…」
「違うわ!」
もう一度乙黒は頭を叩かれる。
結局乙黒には、その理由が分からないままだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
カキン!
打球は鋭いゴロになって三遊間を襲う。
ショートの枡田が目一杯短い腕を伸ばしてゴロを掴み取り、2塁に振り向きざま投げる。
2塁ベースカバーの渡辺が手足を目一杯伸ばしてその送球を掴む。
「アウト!」
「おっしゃぁー!今日も鉄壁!」
滑り込んできたランナーとのタイミングは微妙だったが、審判の手が上がり、打球を捌いた枡田が喝采を上げる。
「簡単には打ち取れないな。スライダーにもポツポツ当ててくる。」
ベンチに戻っていく美濃部に宮園が声をかける。
美濃部は表情一つ変えずにそれに応える。
「まぁこれまでが簡単すぎただけっちゃろ。何だかんだ会心の当たりはされてないけん。」
2人とも心なしか、今までの試合より顔が引き締まっていた。それもそのはず、今は1-0の接戦。
大量リードで勝ってきた今までとは話が違う。
(相手も三つや四つ、勝ち上がってきた相手だからな。そうそう簡単に試合を決めさせてはくれないか。)
ベンチでは浅海が泰然自若とした様子でドンと最前列に立つ。女性監督も堂々としたモノで、華奢な割に存在感が際立つ。
(こういう展開でどうやって勝ち抜いていくか、それこそがチームの真価よね)
「いってぇー!」
グランドから大きな悲鳴が響き渡る。
相手校を突き放すチャンスの到来に、浅海は不敵な笑みを浮かべた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「ホンマよう当たりますわ〜」
「お前うるさいけんじゃね?こう、ぶつけたくなる顔しよるし。」
ベース上で顔をしかめる枡田に一塁ベースコーチがコールドスプレーを吹きかけてやる。
膠着した展開が続く中盤戦、貴重な追加点のランナーが死球という形で出る。
(……あらあら)
ベンチからテキパキとサインを送ってくる浅海。
枡田は患部をさすりながら頷いた。
(ホンマ人使い荒いな〜奈緒ちゃんは〜)
内心でそう呟きながら、枡田は初球に2
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ