高校2年
第二十七話 最低限
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校長は穏やかな顔で頷いた。
校長の判断で野球部の監督を変えたが、そこにはこういう意図もあった。どうせ序盤で敗退するのなら、女性監督の話題性をとった方が良いという。
「……まぁ、見てて下さい。多分、校長の予想以上に勝つと思いますよ。」
「もちろん。勝ち進んでくれるに越した事はありませんよ。なおさら話題になりますし、ウチの学校の大きな特色にもなりましょう。」
堀口の不敵な発言に、校長は上機嫌に頷いた。
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バシィッ!
「ストライクアウト!」
秋の大会の序盤戦。
マウンドには背番号“10”の美濃部。
結局エースナンバーは鷹合が夏に引き続いてつけていたが、その鷹合はセンターでスタメンする事が多く、先発マウンドには3試合続けて美濃部が上がっている。
「144キロば温存してきよったけど……」
「あの10番のスライダーも十分打ちにくいばい……」
相手校は、夏に話題になった144キロ右腕・鷹合を想定して速球を打ち込んできていたが、アテが外れて戸惑う。
カーン!
「よしっ」
カーン!
「うぉっしゃーーおりゃーー!」
コントロール良くテンポが良い美濃部のピッチングに引っ張られるように打線も好調。
夏の3番から1番に移った主将の渡辺、2番に定着した1年生・枡田のコンビがチャンスを作る。
カーン!
「キェエエエエイ!」
3番は1年生の越戸。相変わらず捉えどころのない突っ立ち打法で快打を飛ばす。(ついでに奇声もあげる)
コキン!
(よし、最低限)
夏ベンチ外から4番にまで出世した太田が確実にランナーを進め
カーン!
カキーン!
カーン!
夏の大会からレギュラーだった飾磨、宮園、鷹合の分厚い下位打線が襲いかかる。
「よっしゃー!!」
「またビッグイニングやー!!」
打線爆発にベンチの雰囲気も最高潮。
歯車がガッチリ噛み合っている展開に、監督の浅海はもう何も指示する所がない。
「ゲーム!」
「「「したっ!」」」
3試合連続のコールド勝ち。
まずは絶好調の立ち上がりを見せた、三龍野球部だった。
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「今日もヒット13本か。」
「低い打球を打ててるんがええね。あのレベルのピッチャー相手やと、調子乗ってホームラン狙ってしまいそうなモンやのに。」
監督が怖ーいお姉さんやけんかなー?
乙黒がそう言ってからかうと、浅海はその頭をはたく。2人は監督室で試合後の反省会をしていた。監督の座を降ろされた乙黒の意見も聞いてやる辺り、浅海もそれなりに気を遣っているのだろう。乙黒に気を遣われている自覚は無いが。
「でもな、何で太田が4番なん?今日もヒ
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