初デートの予定外
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だから最初に思いつく言葉は
「甘い………」
「そりゃそういうもんだかんな───まさか意外性を欲してたのか!?」
丁重にお断りしておいた。
だが、彼の行為の意味も理解った。
極東の祭りでの代表的なお菓子を口の中に入れながら彼が射的で私にぬいぐるみをプレゼントをした後に屋台を探しながら受けた私の発言に彼はこう言ったのだ。
お前は俺の考えていることが解んのかよって。
そしたら私は何となく解ると答え、事実理屈云々で何となく解るのだ。
だから、彼がこのデートの切っ掛けとなったあの焼肉の時に言った言葉。
それは
"俺がお前を楽しませるデートコースを考える"
その時はかなり冗談のように、いや間違いなく冗談風に言っていたがそれがかなり"本気"であった事には当然気づいていた。
彼の考えは読める、と言ったがそれは彼がそのまま。つまり自然体の時であり隠そうとするものは察するのは難しいのだがそれでも彼が恐らく今日の日の為に色々と調べてくれていたという事は知っている。
だってさっきからよし、この屋台にしようぜとか言ってその屋台までの道筋が迷っている風情ではなかった。
無論、時折アドリブを混ぜて適当に見回る事もあったが恐らくそれも彼が考えていたのだ。
決まっただけのルートを行くだけじゃあ私が楽しめないんじゃないか、と。
そして彼は確かに私に楽しみをくれた。
その流れを壊したのは自分だ。だが、彼のことだからそれも含めて自分のミスと捉えかねない。だから、浅間はどうすればいいだろうと思い何か手段を考えようとすると
「あっ」
人波によるものか、急に後ろから何か押すような衝撃があったかと思えば抗えずにそのまま私は前にたたらを踏み、シュウ君の腕に飛び込むように収まった。
オパーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
と点蔵は飛び込んできた感触に対して素直なリアクションを取ってしまった自分を恥じた。
飛び込んできたのはオパーーイ……じゃなくて傷有り殿。
と言っても飛び込んできたというよりは転げ込んで来たと言うべきか。麦畑の中で作業をしていると一緒に作業をしていた傷有り殿が転んでそれを助けて胸板にボンボンしたものが乗っかって状況としては幸いだ。
ではなくて!
「だ、大丈夫で御座るか? "傷有り"殿?」
「あ……Jud.大丈夫です。ありがとうございます……」
そうして無理なく立ち上がる姿には確かに問題がある様子はない───外的要因の意味では。
……"傷有り"殿?
何か彼女が見ているのが違うと思う。
彼女が見ているのは今ではあるが"ここ"ではない。視界に移っているのは間違いなくこの場所ではあるが内心がここを見ていない。
そして彼女は精霊使いだ。
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