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不可能男との約束
初デートの予定外
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役職者を狙った結界……!

ネシンバラは目の前と周りの様子と騒ぎを見て冷静に決断を下した。
自分は今、第二階層の自費出版物の即売会に出てより、その中で恐らく必然的な再開でシェイクスピアと出会い明らかな嫌味か、とは思ったが出来るだけ無視しようと思っていた矢先にシェイクスピアは術式を発動した。
術式"空騒ぎ"。
効果としては結界術式であり、結界に巻き込まれた人間は観客として参加し、目的となった人物は舞台の役者として舞台に上げられる。
恐らく巻き込まれた観客としての、例えばノリキ君や御広敷君などはそれらをおかしくは思ってもその舞台を楽しむ観客としての役割にその違和感を封じられるのだろう。
そしてこのような役職者を狙った相対の理由はただ一つ。

葵君にアリアダスト君が標的か!

馬鹿ではあるが権限としては最上位の総長兼生徒会長の葵君。
アリアダスト君は役職こそないが武蔵の副王故にやはり権限は高い。
故にこの相対での勝利を持って自分は上位の役職に対して挑める存在であるという証明を得て葵君の方に直接相対する。
聖連に対しての言い訳も含めていやらしい策だと思う。
しかし、これを葵君に伝えようとも目の前の少女がそれを許さないし戦うには自分は一度負けた上に呪いがある。

「……」

だから僕は立ち上がっていた体を椅子にわざとらしく強く座り鼻を鳴らす。

「生徒会書記として僕はまず言おう───後悔するぞ、と」

「Tes.じゃあ君自身は何て言ってくれるんだい?」

「Jud.───運がよかったねって」

「理由は? っていう僕の三文台詞に乗る気はあるかい?」

シェイクスピアのわざとらしい言葉に僕は再び鼻を鳴らすことによって肯定を示し、僕の嫌味たっぷりの負け惜しみを語り聞かせる。

「これが葵君が決断をした後ならどっかのホモ臭い馬鹿が暴れていたからね───幾らどんな豪壮で頑丈な舞台を整えても暴風の前では潰れるのが掟だからね」

「成程。実際の全力を見たことがないから仮定でしか言わないけど確かにうちの女王クラスの出力を出されたりしたら僕の舞台も形無しだろうね。それなら僕もTes.と頷いておこうか」

……まぁそれも神としての顕現をしないといけないんだろうけど。

剣神(ヒト)ではなく暴風(カミ)として振る舞うのならば彼は今の所出会った役職者よりも更にえげつない存在になるのだろうから。
本人は剣神として行動している方が好きだから滅多に顕現する事はないとは思うが脅しの一つになるんならなる、ならないの問題は排除できる。
他国もこれで武蔵への警戒心を更にアップしてくれたら幸いだ。

……ってまだマクベスの呪いでリタイアしている癖に手癖……口癖? 悪いな僕。

武蔵の馬鹿
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