§55 狂信者の暴走
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いて。一秒にも満たない刹那の時間に、あの鉄塊は島の端から中央まできたというのか。そんな物質を造作も無く操る魔術師など果たしてこの世に存在するのか。ここに来て。彼らの脳裏に”魔王”の字が浮かぶ。
「まさか、本物の――」
あとは、続かなかった。彼らの籠るビルに戦闘機が、突撃する。
「……まさか、ね」
「れーとさん?」
ビルの炎上と同時に、飛行機を消す。室内に入り、気配に嘆息。全く本当に、ついてない。
「え、何あの人たち!?」
「もうダメだ終わりだ!!」
そして二人の視界に入るのは世紀末のような光景に怯え竦む少年少女。平和な世界で生きてきた彼らにとって人質となる経験など当然初めてで。恐怖で立ちすくむ中に襲来してきた飛行機と二人の男女。チェックの長袖にジーンズ、そんな平凡そうな男子学生と巫女服の少女の組み合わせは人質達の混乱を加速させる。
「恵那、この子達任せる」
しかし、黎斗は彼らを一顧だにしない――――否、出来ない
「え?え?」
目を白黒させる恵那を横目に、頭上を見上げる。特攻をしてしまったせいで崩れつつあるビル。平時なら人質や犯人の救出と洒落込むのだが。
「最上階に災害がいる」
「……りょーかい。こっちは、任せて」
袖口から剣を取り出して、恵那が頷く。それを見届けて、黎斗は駆ける。ワイヤーを上へ、崩落した部位に引っ掛けて自身を持ち上げ移動する。
「っと」
「へぇ。今代の神殺しは身軽なんだねェ」
「煩い黙れイケメン」
やはりか。どうしてこう、人外連中はイケメン揃いなのだろう。なんかもう、神とカンピオーネで並んだら自分だけどう考えても場違いだろう。なんてことを少し思う。
「あんたは、誰だ?」
黎斗の鋭い声に、答える声は飄々としていて。
「さぁ、誰だろーね? 当ててごらん?」
ここに、再び戦いの幕が上がる。
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