§55 狂信者の暴走
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」
名誉挽回、と意気込む恵那に、苦笑。
「わかった。じゃあエル、あとは任せる」
そう言って、黒い表紙の古書を渡す。
「はい。とりあえずなんとかやってみます。では御武運を」
彼女の言葉に押されるように、黎斗は機体に乗り込み、瞑目する。
「……まさかそっちに来るとは思わなかったよ、全く」
目まぐるしく変わる景色。この速度ならば欧州まで数分、といったところか。
「権能の掌握が進めば数秒程度になるだろうし、それまでの辛抱か」
「あうっ!?」
焦っている黎斗は気付かない。急激な加速により恵那が盛大に頭を打ち付けていることを。
●●●
「さて。あとは黎斗とやらを呼び出すだけだ」
前もって調べた情報で、ここにカンピオーネを詐称する愚か者の妹が来ていることはわかっている。護衛がついていることは把握済みで、対象の確保に手間取ることは十二分に考えられたが、予想よりも早い。これなら、愚か者を呼び出すまでの時間に余裕が出来る。その間に更に陣地を盤石にする。
「計画通り、否計画以上だ……!!」
彼ら自身これがテロ、と呼ばれる行為であることは十二分に理解している。だが。
「我らにとって王ともいえる、カンピオーネを詐称することなど許せるものか……!!」
決意を新たに外を見れば、恐ろしい気配。
「ん?」
爆音が、した。視界共有にて使い魔の眼で海をみれば飛行機の姿。その機体からは呪力を感じ、既存の物とは思えない程に凄まじく速い。恐らくニセモノ野郎が乗っているのだろう。莫大な呪力を持つ戦闘機の入手経路が気になるが、それはあとから拷問でも何でもして探れば良い。
「血迷ったか?」
単身特攻とは、舐められたものだ。日本の結社を味方につけ、総力戦になると思っていたのだが。
「まぁ、良い。手間が省けたわ」
数十体ものゴーレムが、迎撃に向かう。神獣を相手に、傷を与えられる打撃力と一撃程度では沈まない耐久力を備えた逸品だ。これを大量投入する。まさか海岸付近で決着がつくとは思わなかった。優秀な術者複数で挑んでくると思い、島の中心部から二重三重に結界を張ったのが馬鹿のようだ。いや、これは囮か?
「恐れ多くもカンピオーネの名をかたる不届き者が。我々が誅してくれるわ。光栄に、思えよ」
勝利の笑み。しかし彼らのその確信は、一瞬にして崩れ去る。飛行機から放たれたミサイルが、一撃でゴーレムの集団を吹き飛ばしたのだ。その威力は、既存兵器のそれとは明らかに違う。もはやオカルトを超えた、神の領域。
「な、にィ!!?」
「馬鹿な……一撃で、だと……」
常軌を逸した速度で迫るそれは、もう彼らの目前まで迫って
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