暁 〜小説投稿サイト〜
ボロボロの使い魔
『絆を繋ぎ止めるもの』
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一の抵抗だった
勝ち目などもはやどこにも無い
全身の激痛を押し殺すだけで精一杯なのだ
そしてこの状況において尚、戦い続ける事を止めないならばその結末は容易に想像がつく
それでも橘は後悔しない

だが、自分の力が足りないが為にギーシュを止め、彼を救う事が出来ない
モンモラシーとの約束を守る事ができない
その不甲斐なさが何よりも辛かった

『タチバナぁあああっ!』

その時響いた声は誰のものなのか
余裕のない筈の視線が捉え、自身の前に転がった物は

「ルイズ…?それにこれは…!?」

何故ルイズがこれを? 何故どうして彼女がここに? 疑問が頭を駆け巡る、しかし答えはでないでるはずがない

自分はまだ彼女の事を殆ど知らない
尋ねたい事、話さなければならない事は他にも山ほどあるというのに関わらず
自分達はまだ、まともな会話もしていない

だが今、勝手にしろと怒鳴った筈の少女が自分の為に駆けつけ そしてこの『力』を届けてくれた
ルイズは決して傲慢で自分勝手なだけの少女では無かった
今にも泣き出しそうなその顔が、自分の身を案じ心配しているからなのだと
それがわからない程馬鹿じゃない

彼女が始めて自分に見せた優しさが、今は只嬉しい
だから笑った


ラウズカード『スタッグチェンジ』と
『ギャレンバックル』を手に持って

一瞬、だが確かに
ルイズに、もう心配するなと言うように
俺はまだ戦える
君が『力』をくれたから
そんな彼女の想いを無駄にはしない
その優しさを護りたいと思うから

だから、戦える
また戦える

この全身を貫く喜びが、俺の体に力となり漲っていく


立つ、立ち上がる
体中が悲鳴を上げる、しかしその気迫は衰えること無くギーシュを貫き、今 は遠く、距離さえ離 れ絶対的優位かつ安全な場所に立つはずの彼さえ震わせる
…少し、思う
相変わらず俺は弱い
結局、あの頃から自分は何も変わっていない
助けたいと思いながら、やむを得ないと言いながら、力でしか語れない
そして、なくともなどと言いながら結局はこの力に頼るしかない不甲斐なさ
自分は全く進歩していない
弱さも情けさも変わっていない

だが、それでも構わなかった

難しく考える必要などどこにもない
答など最初から決まっているのだから

あの頃も、そして今も抱く願いは変わらない
独善だろうが自惚れだろうが構わない
彼を信じ心配し続ける少女との絆を取り戻させたい
それが誰であろうとも 自分と同じ後悔をさせたくない
その為に戦う
この力をもって彼を制する
今は、それでいい

決意と共にカードをバックルに装填、腹部に押し当てる 一拍後に側面から銀色の帯が射出、胴を 一周しもう一
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