『絆を繋ぎ止めるもの』
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は何も応えない、構わず続ける
「だから、自分が決闘を受けるんだって…一緒にいてやれなかった自分の責任だって…パート ナーだからって!」
彼女は独りでは無い 彼女を思う存在は確かにいたのだ
ただ、それを認めないだけで
受け入れないだけで
一時は誰より近くにいたにも関わらず、彼女が抱え込んでいたものに気づく事なく見限ってし まった自分がそうであると言うつもりは無い
だが、キュルケはルイズを『ゼロ』だと見下す事をしてはいなかった
彼女はルイズの事を認めていたのだ
『ゼロ』と呼ばれ続け、失敗ばかりで何一つ成功させる事が出来なかった彼女を
それでも諦めず努力を続ける姿を彼女だけは認めていた
そして今、橘がルイズの為にボロボロになりながらも戦っている
…なのに!
「貴女は何をしているの? 貴女は何を言っているの? 答えなさいよ! ヴァリエール!」
ルイズは青ざめた顔のまま何かを言おうとし、だができず
僅かに後ずさり 視線を背けた
「メイドを助けた?」
結果的にはそうかもしれない、だが自分は彼女を助けたいなど欠片も考えて はいなかった
ただ、苛々していたから、ギーシュが気に入らなかったから 喧嘩を売っただけだった
『パートナー』
自分はそんな事を言っただろうか?
…言っていたかもしれない
彼を召喚した直後、使い魔が何であるかを説明する時に言っていた
…ような 気がする
だが自分の言葉になど耳を貸さず騒ぐ男に失望し見切りをつけ、下僕だと勝 手に決め付けてからは忘れていた
思い出すつもりも全く無かった
その時抱いた自分の惰弱な思いと共に捨てていたのだ
どうでもいい事だと切り捨てて
そんな…自分はどうでもいいと思っていた言葉の為にあの男は決闘を受けたというのか?
ギーシュは動揺していた
『彼』が言ったのと同じ言葉のせいで
…違う!
この男は『彼』とは違う 『彼』はこんな無様な男とは関係無い
自分のワルキューレに手も足も出ない 無力な平民とは断じて違う!
改めて男に目を向ける
もみくちゃにされ、殴られ、転び それでも立ち上がる
生身の平民でありながら、流石にその体力は驚愕に値した
加減はしている、さすがに殺す訳にはいかないからだ
だからといって男に勝ち目がある筈は無い
そして、自分も貴族としての名にかけて、男が負けを認めるまでこの『決闘』を止めるつもりはない
なのに…何故だろう、絶対的に勝ち目の無い状況でありながら 彼の目に宿る強い光が消えないのは
そして 何故だろう、違うと断じながらも『彼』とどこか似たものを、この男から感じるのは
過去に見た金色の輝きがギーシュの記憶に燻
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