『絆を繋ぎ止めるもの』
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学園での名声を棄てて
その先にあるであろう輝かしい将来も棄てて
それでも後悔しないと言い切った彼女
だが
『後悔はしないけど…ヴァリエールが召喚する使い魔を自慢してもらえないのは残念かしらね』
…それは、少し意外な言葉だった
他のクラスメイトであれば、そもそも召喚自体成功するはずがないと一笑にふしただろうから
思えば、キュルケはルイズをからかいこそすれ見下したり、馬鹿にした言動はしたことが無かったことに今更ながら気付く
『ま…最初は家の、因縁がどうのこうのって話だったからかもしれないけど、そんなの私達には関係ないし』
だって、あの子可愛いじゃない
最後にそれだけ言い、それ以上キュルケは何も言わなかった
そんな、キュルケをモンモランシーは尊敬している
愛する『彼』の為に何もかも棄てて追いかけていくその、強さが羨ましかった
彼女がルイズに対しどういう感情を持っていたのか
それは自分が決めるものではないし、伝えていいものでもない
それでも、ルイズの言葉は許せなかった
だから、捕まれた髪を引っ張られようとモンモランシーは怯まない
涙の滲む瞳でルイズを睨み付ける
…こんな、行動に何の意味があるのか
モンモランシー自身も考えてはいないだろう
今はただ、ルイズが許せなかった
「そろそろ、降参したらどうなんだい、所詮、魔法も使えない君じゃ僕には勝てないよ」
「魔法が力のすべてじゃない…そうだろう?」
満身創痍でありながら吐き出された言葉
それを聞いたギーシュの顔が大きく歪んだ
この少年は知っている
本当はこの場に集う誰より解っている
今、平民を圧倒しているこの力が本当はどれほど無力なものなのかを
自分という存在の矮小さを
『この力は魔法じゃない、魔法が力の全てじゃ無い事を忘れないでいて欲しい』
そう言った『彼』との出会いが
ギーシュの頭から離れない
ルイズは頭がどうにかなりそうだった
情けない情けない情けない、本当に情けない。
立派な貴族に、メイジになるために幼い頃から努力し続けた
なのに魔法一つまともに成功させる事も出来ず
あげくのはてに髪を引っ張りあいの喧嘩など情けないにも程がある
何で、あんな奴が来たんだろうか
あんな奴が召喚されたせいで私はこんなにも惨めな思いをしている
本来ならこんな不様なことにはなっていない!
「私は貴族なのに…あいつの…あいつのせいでっ…!私はボロボロなのよ!」
「なら貴族って何?平民との違いって何?」
「力があるから!魔法が使えるからに決まってるでしょ!」
勢いに乗せられ言ってしまった、叫んだ後で後悔する、だが遅い
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