憎悪との対峙
21 崩れていく社会
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
熱斗自身スマートフォンを持ったのは始めてだった。
IP電話限定のトランサーやPETが普及したこの世の中ではもはや旧来の通話限定PHSのような役割で2代目の機種としての需要があるのは知っていた。
IP電話がメインになっている世の中で数年後には電話番号が無くなるのではないかと噂される時代だ。
しかしIP電話に比べ、通常の電話回線の方が音質はクリアであるなど根強いファンが多いのも又事実だった。
アルミ製の高級感のある本体を手に取り、熱斗は少し胸騒ぎを覚えた。
後から電話するかもしれないということは、父が自分を頼るかもしれないということだ。
つまりまだ中学生である自分を頼らなければ事態が起こることも有り得るということに他ならない。
「...そうだ、デンサンシティのメイルたちは!?」
『熱斗くん、メイルちゃんはスマートフォン持ってたはずだよ!』
「分かった!ロックマン、アドレス帳からメイルのデータを出してくれ!」
女子の間ではトランサーやPETのようにI.P.C製でスペックもほぼ固定された端末よりも、カメラの性能や絵文字の数、画面の解像度などから多くの選択肢のあるスマートフォンの方が人気がある。
メイルはPETの他にArrowsを持っているはずだった。
熱斗は自分でも信じられない速さでPETに表示されたメイルの電話番号を入力し、発信キーをタップした。
そんな中、ロックマンははるかに話し掛けた。
『ママ』
「何?ロックマン」
『今、この状態ってもしかしたら『社会の本来あるべき姿』なのかもしれないなって』
「え?」
はるかはいきなりのロックマンの発言に驚いた。
『ネットナビだから思うことかもしれないんだけど、インターネットには人間性を下げる...その人の可能性を広げることもあるし、狭めることもある負の要素が混じっている気がするんだ』
「....」
『今までも何人もの犯罪者と熱斗くんと僕は戦ってきた。でもみんなインターネットという便利なものを悪用しようとする人たちばかりだった....それだけじゃない、インターネット上の掲示板なんかのSNSは誰かを叩くことでストレスを発散するような人として最低な人間にしてしまう、僕たちネットナビが何でも人の役に立とうってすればするほど、本来なら人が手を加えて自分の技術も磨いて社会のためになるっていう構図が崩れていく....』
「そんなことは...」
『僕たちネットナビなんていなければいい、インターネットなんて無くなってしまえば、ウイルスによるパニックやネット上でイジメられて苦しんでいる人たちもいなくなるんじゃないかって...時々思うんだ』
ロックマンは心中を吐露した。
今までも何度か自分の存在意義について悩んだ。
結果として兄として友達としてネットナビとして熱斗の
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ