憎悪との対峙
21 崩れていく社会
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あれ....熱斗くん、何か変だ。朝のニュースが受信できない』
「え?」
熱斗は朝ニュースを見るようにしていた。
これは苦手の社会科の教師から勧められた習慣だった。
熱斗は正直驚いていた。
2人揃って同じ夢を見たことといい、早起きしたことといいイレギュラーな事態が多い。
枕元のクレードルにセットされ充電が終了したPETを手に取った。
「あれ?」
特におかしいと思えるところはない。
だが違和感が上部のステータスバーにあった。
通信状態を示すアンテナアイコンは良好を示すものだった。
データ通信を行っているアイコンが消失していた。
つまりインターネット、メール、遠隔操作など全てが使用不能だった。
それに電話までIP電話が普及した世の中ではインターネット通信が使えない状態では役立たずとしか言いようがなかった。
『ダメだ熱斗くん、インターネット接続が完全にダウンしているよ...通信障害?』
「ん、待ってくれ。何か変だ....外」
熱斗は幾つものイレギュラーな事態のせいでいつもと違うことに感じて敏感になり始めていた。
次に気づいたこと、それは外からの音だ。
いつもなら通勤、通学の時間帯で多くのリニアバスが屋根よりも高いところを飛び交う音が聞こえるはずだった。
違和感を感じ、カーテンを開けベランダに出た。
「リニアバスが....飛んでない?」
空は快晴、しかし飛んでいるのはバスではなくカラスと雀ばかりだった。
そして街の人々は耳元にスマートフォンを当てて通話しているなど若干、時代遅れの人々ばかりになっていた。
いよいよ熱斗は違和感を通り越して恐れを抱き始めた。
パジャマ姿にPETを持ったまま、階段を駆け下りてリビングルームへと向かった。
そしてテレビの前で絶句している母、はるかに声を掛けた。
「母さん!!」
「熱斗、早いわね」
「それどころじゃないよ!変なんだ!ネットは使えないし、リニアバスは止まってるしいったい何が」
「....昨日の夜、才葉シティとデンサンシティのインターネットを司るメインシステムが攻撃を受けてダウンしたって...それでパパも休日なのに急に呼び出されて出かけたわ」
「!?」
確かに休日なら家族サービスに積極的なはずの父、祐一朗の姿は無かった。
早起きしたともなれば、笑顔で頭を撫でてくれるような優しい父は庭のHONDA・NSXと共に消えていた。
「ねぇ母さん?復旧の見込みは?」
「今、やってたニュースだと....2週間は掛かる見込みだって...その間はメールもネットバンキングも何も出来ないわ...」
『どうしよう、ママ。そんな事になったら....』
「どういうことだよ、ロックマン?」
ロックマンは自分たちの置かれている状況を熱斗以上に理解し
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