As Final 「雪空の下で」
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――いや、主だけじゃない。主がいつか手にするであろう魔導の器も騎士達と共に見守ってほしい」
「……ああ、約束するよ」
震えそうになる声を押さえ込み、どうにか力強く返事をすることができた。リインフォースは礼を言うかのように微笑むと魔法陣の中央へと戻る。
穏やかな笑みを浮かべるリインフォースの身体が青色に発光し始めたかと思うと、彼女の身体は徐々に青い光と共に空へと消えて行った。
誰もが無言で空を見詰めていると、何かに気が付いたはやてが身体を引きずりながらリインフォースが立っていた場所まで進んだ。彼女が身体を起こして座りこんですぐに空から発光する物体が降りてくる。
はやての手の平に落ちたそれは、金色の十字架のようなアクセサリーだった。リインフォースが言っていた欠片なのだろう。
「う……ぅ……」
欠片を大事そうに胸に当てながら再びはやては泣き始める。何を言えばいいのか分からない状態だったが、俺は彼女へと近づいて片膝を着いた。
潤んだ瞳がこちらに向けられたかと思った次の瞬間には、俺の胸ではやては出来る限り声を殺して泣いていた。高町達も静かに駆け寄ってくるが、誰もはやてに声をかけない。俺と同じように何を言っていいものか分からないのだろう。
何も言えないのなら抱き締めてやるだけでも、と思って手をはやての背中に回したがやめた。今の俺にそんな資格があるとは思えなかったからだ。
――どうして……こんな結末にしかならないのだろう。本当にこんな結末しか迎えられなかったのだろうか。
俺は静かに視線を上げて、リインフォースが消えて行った空を見た。そこにあるのは舞い散る雪だけであり、何か答えがあるわけではない。そう分かっていても見上げずにはいられなかった。
……リインフォース。
俺は今日の出来事を絶対に忘れない。
お前との約束を果たすために強くなるよ。もう今日のような結末を迎えないために。お前の大切な主や騎士達を守れるように……。
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