As Final 「雪空の下で」
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、はやてはリインフォースの元へ向かい始めた。しかし、雪で隠れていた石に車輪がぶつかり横転してしまう。
反射的に駆け寄りそうになるが、リインフォースに視線を向けられ足を止める。
――はやての思いは分かる……俺もリインフォースを救いたい。だけどリインフォースの思いも理解できるし、はやてのことを考えるならば彼女の意思を尊重することが正しいのだろう。
「なんでや……これからやっと始まるのに。これからずっと……幸せにしてあげなあかんのに」
倒れた状態のまま泣くはやてを見て、リインフォースは魔法陣のぎりぎりまで歩み寄り片膝を着く。俯いていたはやてもそれに気づき視線を上げた。
「大丈夫です。私はすでに世界で一番幸福な魔導書ですから」
「リイン……フォース」
リインフォースは優しげな笑みを浮かべるとはやての顔に付いていた雪を払い、彼女の頬に優しく手を添える。
「我が主、ひとつお願いが……私は消えて小さく無力な欠片へと変わります。もしよろしければ、私の名はその欠片ではなく、いずれあなたが手にするであろう新たな魔導の器に与えてもらえますか?」
はやては返事を返せずにいたが、リインフォースは彼女から手を放すとさらに続ける。
「祝福の風《リインフォース》。私の願いは、きっとその子に継がれます」
「……リインフォース」
「はい、我が主」
はやては一際大きな涙を流し始め、リインフォースは立ち上がった。魔法陣の中央に戻るかと思ったのだが、視線を俺のほうへと向けてきたため彼女へと歩み寄る。
「君は主のため、騎士達のために色々と頑張ってくれたのにひどい真似をしてすまなかった」
「……謝るのは俺のほうだ。助けるって言ったのに……何もできずに見送るしかないんだから」
口から出た声は震えていた。はやてのように胸の内が感情で溢れつつあるのか涙も出そうになる。
リインフォースは優しい笑みを浮かべながら、俺を落ち着かせるかのように頬に触れてきた。その状態のまま話し始める。
「そう自分を責めないでくれ。君やあの子達は、私の悲しみの連鎖を断ち切ってくれた。それだけで充分に助けられているよ」
「だけど……」
「ふふ、意外と君も聞き分けがないのだな」
そういうところ我が主に似ている、と続けるリインフォースの顔は幸せそうに見える。
今迎えようとしている結末は、彼女が本当に望んでいることなのだろう。高町達も1歩たりとも動こうとはしていない。儀式はもう止まらないと分かる。ならば俺がすべきことは笑って彼女を見送ることなのかもしれない。
「俺は……はやてよりも駄々っ子じゃないさ」
「ふふ、そのようだ。……終焉の時も近い。最後に君にもお願いがあるのだが」
「構わないよ」
「では……これから先もどうか主
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