As Final 「雪空の下で」
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気の良い反応ではなかったが、シャマルの言葉に肯定を意思を示した。リインフォースが待っている場所を伝えられた彼女達は移動を始める。
「ショウくんはなのはちゃん達ほど魔力も残ってないだろうし、体調が悪化したら大変だからはやてちゃんの傍にいてくれない?」
「ん、はやてはリインフォースのところにいるんじゃないのか?」
「ううん、はやてちゃんは今お家で寝ているわ。初めて魔法を使って疲れちゃったみたいで」
つまりリインフォースは、はやてに何も言わずに去るということか。
思わず「ふざけるな!」と出そうになってしまった。きっとリインフォースははやてを悲しませたくないと思っているのだろう。だがいなくなってしまう時点ではやては悲しむ。彼女は別れの挨拶もなくいなくなられることが、どれだけ悲しいことか分かっていない。
だからといって、はやてを叩き起こすこともできない。起こしてしまえば、彼女は破壊を止めようとするだろう。全員の覚悟からして止まるとは思えないが、もしも止まってしまった場合……。
「……分かった」
「ごめんね」
「謝るなよ……シャマル達も辛いって分かってるから」
そこで会話は終わり、足早に高町達の後を追い始める。
アースラから海鳴市に降り立つと、俺はシャマルから家の鍵を受け取って八神家へと向かい始める。辺りはすっかり暗くなっており雪が降っている。まるで俺達の気持ちを表しているような悲しげな空だ。
始めはゆっくりと歩いていたが、はやての意識が戻っているのではないかと考えた俺は、徐々に移動手段を歩きから走りに変えた。
荒くなった息遣いを整えることもせず、家に到着すると鍵を使って中に入り、はやての部屋へと進む。ノックするが、返事はない。やはりシャマルの言うとおり寝ているのだろうか、と思い中に入ると、ちょうど上体を起こしていたはやてと視線が重なった。
「ショウ……くん」
「……起きてたのか」
「うん……リインフォースは?」
意識を失う前に見た光景が光景だけに、彼女に心配の言葉を言われると思っていた。だが真っ先にリインフォースのことを聞いたあたり、俺の表情や雰囲気から何か読み取ったのだろうか。
いや、はやても魔法を使用できる人間だ。もしかすると、これから起きることを感じ取ったのかもしれない。
シャマルは傍にいてやれと言っていた。おそらく理由としては、はやてが起きたときにひとりだと不安になるから。これに加えて、儀式の邪魔をさせないようにしてほしいということだろう。
嫌な役目を押し付けられた……わけじゃないだろうな。シャマルの口ぶりからして、こんなに早く起きるとは思っていなさそうだった。純粋にはやてをひとりにしたくなかったのだろう。
リインフォースの元に連れて行くのは普通に考えれば良くないことだ。
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