暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
As Final 「雪空の下で」
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 ふと瞼を上げると闇が広がった。
 はっきりとしない意識の中で思考を走らせるが、寝起きのようにぼんやりとしたものしか浮かんでこない。目が慣れ始めた頃、どことなく見覚えがある部屋だと感じた。

「……医務室か?」

 上体を起こして周囲を見渡して見るが、記憶に残っているものと合致する点が多い。間違いなくアースラの医務室だと言っていいだろう。

「……確か」

 回転し始めた頭で一連のことを振り返る。
 まず闇の書が完成し崩壊が始まった。管制人格と戦闘し、テスタロッサが飲み込まれる。高町と共に戦闘を続け、テスタロッサとはやて達が助かった。簡潔に言えば、この流れだったはずだ。

「その後は……はやてと話したはず。それで……気を失ったのか」

 これまでに経験のない戦闘で肉体的、精神的にも疲労していた。はやて達が助かり、緊張の糸が切れたのだろう。
 だがその割には、身体の調子は良い。鉛のように重かった身体は普段の感覚に戻っているし、負傷していた左腕も治っている。気を失っている間にシャマルが治療してくれたのかもしれない。
 部屋の外が慌しくないということは、決して悪い結末にはなっていないのだろう。先ほどからファラの姿が見えないが、無茶な戦闘をしたためシュテルが診ているのかもしれない。
 身体が問題なく動くことを確認した俺は、現状を把握しようと部屋から出た。事件の処理が行われているのか、時間帯が問題なのか廊下は静まり返っている。歩き続けていると、食堂から声が聞こえてきた。

「夜天の書の……破壊?」

 ポツリと呟かれた言葉だったが、食堂に入っていた俺にははっきりと聞こえた。聞き間違えではないのか、と立ち止まってしまう。

「どうして! 防御プログラムは破壊したはずじゃ!」

 テーブルを叩く音と共に、高町の声が響いてくる。
 ――なら何で夜天の書を破壊する必要があるんだ。高町の言葉からしてナハトヴァールの破壊には成功したはず。なのに何故……
 そんな風にナハトヴァールの破壊を聞いて安心感を覚える暇もなく、新たな不安が大きくなっていく。

「ああ。確かにナハトヴァールは破壊された」
「……ならどうして夜天の書を破壊するんだ?」

 クロノに言葉を投げかけると、その場にいた全員の視線がこちらに向いた。座っていたテスタロッサ達は立ち上がり、すぐさま全員駆け寄ってくる。

「ショウくん!」
「起きて大丈夫なの? 身体、痛くない?」
「あぁ、大丈夫」
「ショウ、もう少しちゃんと謝りな。あんたは分からないかもしれないけど、いきなり倒れたんだからね。あたしらがどれだけ心配したか……フェイトなんて泣きそうだったんだよ」

 視線をテスタロッサへ向けると、顔を赤くしながら「な、泣いてないから!」と返してきた。
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