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打球は快音響かせて
高校2年
第二十六話 ゼッケン
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な」
「でもやっぱり不安だよなぁ〜」
「そげも不安なら、外野の練習もしてみ?」

太田の提案に、翼は「外野?」と聞き返した。
今さら外野の練習なんかして何になるのだろうか。

「ほら、自慢やないけど、俺そんな守備上手くないし。今の外野の連中バッティング好きな奴ばっかやけん、そんなに守備に力入れよる奴居らんのよ。お前、足も肩もまぁまぁやし、今からでも練習すりゃあ守備固め要員になれるで?ピッチャーとしてギリギリでも、もういっこ強みあったら固いやろ。」
「なるほど……」

翼は頷いた。
そうだ。自分の活躍の場はいくらあったって困る事はない。ピッチャー1本に拘る必要も無いし、どんな形でも必要とされれば良いではないか。

「よーし。頑張ろう。ありがとう太田。何か希望見えてきた。」
「なら良かった。秋は一緒に背番号付けるで!」

太田がサポーターを巻き終わり、翼の背中をバン、と叩く。翼は痛がりながらも、その表情は明るかった。




ーーーーーーーーーーーーーーー




そして、夏休みの残り時間はあっという間に過ぎ…

9月を直前にして、秋季大会の背番号発表の日がやってきた。

「16番、枡田雄一郎!」
「はァーーイ!」

枡田が相変わらずの大きな声で返事をして背番号を取りにいく。背番号は二桁だが、その表情は明るい。

三龍は、下級生レギュラーには二桁の番号しか与えない事が多い。控えの上級生に一桁の番号を与える事が多いのだ。何としても番号が欲しいと思っている上級生にはありがたいシステムだろう。何せ、番号が後半になっていくにつれて“もしかしたら最後まで名前呼ばれないのではないか”のドキドキを味わわされずに済むのだから。

(……まだ呼ばれない……)

それでも、今の翼のように冷や汗をかいている奴は結局出てしまうのだが。

「17番、剣持大成!」
「18番…」

遂に最後の番号が来てしまった。
もうこの時点で、翼はほぼ諦めた。
あぁ、ダメだったんだ。来年まで背番号はお預けだな…

「…好村翼!」
「……は、はい!」

少し間が空いてしまったのは、諦めモードから切り替えて返事をするのに時間がかかったからだ。
結局、翼はベンチ入り最後の番号である18番をゲットする事が出来た。浅海から手渡されたゼッケン。「自分達の代ではベンチ入り」という1年秋からの目標の結実がそこにあるはずなのに、翼にはそのゼッケンがやたらと安っぽく軽いモノに感じられ、少し拍子抜けした。全く実感が湧かなかった。

「とりあえず、秋はこのメンバーでいこうと思う。夏休みの練習試合では全員にチャンスを与えた。そこから、秋を戦うのに現時点で最良だと思えるメンバーを選んだつもりだ。選ばれた者は責任を自覚して、これ
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