番外10話『トトもの』
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肩を落とす。
「いや――」
「――ビビちゃんにも随分と無茶をいってしまった」
ずっと行方不明だったビビがいきなり目の前に現れて、おそらくだがトトの心のタガが外れてしまい、そういうことを言ってしまったのだろうがビビはまだ16歳だ。いくら王女とはいえ、まだまだ少女でしかない年齢に反乱軍を止めてくれというのはさすがに無茶なお願いだったと、トトは思っているのだろう。
実際に、一般的に考えればそれは確かに無茶な話だ。
だが、少なくとも今回のビビという件に限ってはそれは決して無茶な話ではないということを、ハントは知っている。
ビビがどれだけ国のことを思ってここまでやってきたか。
どれだけ国民の命が失われることに重圧を感じてきたか。
真実をつきつけ、反乱をとめ、国を普段の姿に戻すことに苦心してきたか。
それらを、ハントは仲間として側で見てきた。
だから、ハントは知っている。
たしかにトトという男のお願いはビビにさらなる重圧をかけることになったかもしれない。けれど、ビビならばそれを本当にやり遂げるだろうということを。
「あの子が無茶をしないか心配だよ」
呟くトトに、だからハントは言う。
「……まぁ、それに関しては大丈夫、かな」
「え?」
先ほどからずっと驚いていたのはハントだったが、ここで逆転。今度はトトが驚きの顔を見せた。それを目の端でとらえながら、ハントは言葉をつづける。
「俺が知る限りだけど、ビビはずっとこの国を想ってここまで来た……反乱を止めるために、無駄に命が散らないように――」
――本当の黒幕をたたき出すために。
最後の言葉だけは胸の中で呟き、ハントはさらに言う。
「だから、ビビは反乱を止める。きっとおっちゃんとここで会うことがなくてもそうしてたし……だからおっちゃんが反省することなんてない。それにビビには俺たちがついてるしさ。どれだけビビが無茶をしても、俺たちがあいつを助けるし、守る。おっちゃんは何の心配もしないでただ明るい話題がわいてくるのを待ってればいいよ」
一瞬前まであったはずの、どこか抜けていたハントの表情。それが気付けばトトですらはっとさせられるほどに大人びた表情を浮かべて、ハントは最後に笑って付け加えた。
「俺が約束する。ビビはこの国を守る。そのビビを俺たちが守る。それで本当の黒幕は俺が倒す。それで全部が終わる……だからおっちゃんはそんな辛そうな顔をしなくてもいいんだ」
トトはビビが行方をくらませていた理由を知らない。どういう事情でハントたちとビビが一緒にいるのかも知らなければ、当然ビビが真実をつかんでいることも知らない。だから、ハントの言葉はトトからしてみれば一切の根拠がない言葉だ。
人によっては鼻で笑った
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