番外10話『トトもの』
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らだったが、休むということになっても彼らは騒がしい。慣れない気候と慣れない砂漠歩きは彼らの体力を何倍も削っているはずで、疲れ果てているはずなのだが、その喧噪はもはや彼らにとっては必然のものなのだろう。
その騒ぎは、砂で埋もれてしまった湿った地層を掘り起こすためにスコップで砂を掘り続けているトトと、それを眺めるルフィ、ハントの耳にも届いていた。
「……元気残ってるんじゃないか」
小さく不満げにつぶやいたハントの言葉だったが、ほかの二人はそれらの音は気にならないようで、ルフィはトトへと口を開く。
「なーおっさん、出ねぇぞ水! おれもう喉カラカラなんだ」
「喉カラカラなのはルフィがサギに水をとられたからっていうのも大きいけどな」
「うっ」
ちくりと言われたハントの言葉に、ルフィは明後日のほうを見ながら「よくこんなとこに住んでんなー、大変だ」と聞こえていないフリをして言葉をつづける。だったら、とハントはハントで考えがあるらしく口を開こうとして、その前にトトが言葉を発していた。
「水は出るさ……『ユバ・オアシス』はまだ生きてる」
手を止めずに、ひたすらに砂を掘り起こしながら。
「ユバはね、砂になんか負けないよ……何度でも掘り起こして見せる。ここは私が国王様から預かった大切な土地なんだ」
「……ふーん」
「……」
軽くふざけあっていたルフィとハントがトトの言葉に、何かを考えるように黙り込んだ。少しばかり黙り込んだ二人だったが、まず先に動いたのはやはりルフィ。
「そうか、よし! じゃあ掘ろう!」
と、素手で砂を掘り始めた……ところまでは心温まるお話とでも思えばよかったのだが。
トトにお尻を向けて、そして自分の後ろへと砂を掘り始めたルフィの行為でそれが台無しになった。
「あー、こら! ちょっと待て! 私の掘った穴に砂を入れるな!」
「ん?」
「穴を埋める気かと言ってるんだ!」
「いや、掘ってるんだよ、俺は」
「そうじゃなくて君の掘り起こした砂が私の掘った穴に入るから! 私が穴を掘る意味がなくなるだろうと言ってるんだ!」
「……? ああ、不思議穴か」
「違うわ!」
これはこれで逆にトトへと負担をかけてしまっている。
なぜ理解できないのか、と途方にくれかけたトトだったが、そこでもう一人の男、既にルフィの扱いに慣れた男が立ち上がる。
「ふっふっふ、俺に任せろおっちゃん」
「? あ……ああ」
自信満々に仁王立ちで言うハントの様子がどこか変人らしき態度が滲んでいてトトが困惑ぎみに頷く。
「ルフィ」
「ハント! 不思議穴らしいぞ!」
「よしよし、俺がおっちゃんの言いたいことを教えてやる」
「? 不思議穴なんだろ?」
――何いってんだハン
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