暁 〜小説投稿サイト〜
打球は快音響かせて
高校2年
第二十五話
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う事ですか!確かに俺結構打ちますからねぇ!」

穏やかな顔で諭すように説明され、鷹合は途端に元気になった。鷹合は一礼してその場を離れ、クラブハウスに戻って行った。

「……上手い事手なずけますね」

物陰からひょこっと京子が顔を出す。
浅海は苦笑した。

「物の言い方は工夫すべきだろう?」
「投げない時に外野で使う、という事は“投げない時”がこれからあり得るという事やないですか。これまで鷹合さんが“投げない時”なんてなかったんですよね、エースだから。この事をあの人は分からないんですよね」

バカだから。京子は喉元まで出かかった言葉を呑み込んで、ニヤリと得意げに笑った。
浅海は参った、と言うようにため息をついた。

「中々高校生で、話の前提を疑える子は居ないからな。面と向かってピッチャークビだと言うよりは良いだろう。まぁそもそも、完全にクビにする気も無いが。」

しかしな。浅海は京子に力説を始める。

「鷹合はあの身長、あの遠投力で、なおかつ足も速いんだ。牽制やフィールディング、何よりピッチャーとしての繊細さは欠片もないが、しかしあれは良い外野手になるぞ。バッティングも、誰にも打てないような球を平気で打ったりする。この夏にピッチャーとしてドラフト候補に挙げられたが、むしろ向いてないはずのピッチャーで取り上げられる事こそがすごい。」

目を輝かせて話す浅海に、今度は京子が苦笑する羽目になった。

「……で、鷹合さんを外野に回して、マウンドには誰を上げるんですか?」
「あぁ、それはもう」

浅海は不敵な笑みを浮かべる。

「出番に飢えていたあいつが居るだろう?」




ーーーーーーーーーーーーーーー


ブンッ!
「ストライクアウト!」

ガクッ、と急激に、大きな変化を見せるスライダー。打者のバットは空を切る。
バットを押し込み、捕手のミットを突き上げるような鷹合のストレートとは違い、打者のスイングをすり抜けていく球である。

「よしっ!」

童顔に気合いを漲らせて練習試合のマウンドに上がっているのは美濃部。前チームまでは鷹合の影に隠れ、結局公式戦での登板は0のまま自分達の代を迎えたが、夏休み中の練習試合では大幅に出番が増えていた。

(鷹合がノーコンだった分、美濃部が相手だとミット通りに球が来る事に感動するな。)

宮園は思わず笑みを浮かべる。
球種も制球もない鷹合相手にバッテリーを組むのと、球種もいくつかあり、そこそこに制球も良い美濃部と組むのとではリードが違ってくる。
いや、むしろ、“やっとリードをさせてもらってる”と言った方が良い。
前チームまでは、美濃部は投げても2試合目だった為、2番手の先輩捕手が受ける事が多かった。やっとこの2人のバッテリーが実現し
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