高校2年
第二十五話
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ニヤと笑って、子どものようにむくれる乙黒を見る。
「……美味しいトコにはな、食べ方があるんだよ」
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「ただいまー」
「あ、お帰りなさい」
ジャージ姿の翼がグランドに帰ってくると、京子がクラブハウスの流し台で甲斐甲斐しくドリンクを作っていた。翼はすぐそれを手伝う。
その足にもうギプスは巻かれていなかった。
「明日から練習復帰するよ」
「本当ですか?早いですね。予定より一週間以上早いやないですか」
「まぁ、まだ若いからね。医者は治療予定を長めに言うものだし」
新チームが始まって、既に一週間経った。ギプスが外れてから、病院でのリハビリを経て、遂に晴れて練習に復帰できる状態にまでなったのである。翼の表情も実に晴れやか。やっと野球ができる。
「明日から好村さんに手伝ってもらえんのかー、大変やなー」
「え?いっそ俺、マネージャーになろうか?」
「ダメですよーだ。ちゃーんとグランドでしんどい思いしてください〜」
京子が顎でしゃくったその先には、グランドでTRXや腕立て、ラダーダッシュやフロントブリッジなどに取り組む選手たちの姿があった。
どれもこれも、しんどそうである。
「……なんか戻りたくなくなってきたな」
「何言ってんですか!はい、これ持って下さい!」
京子に言われて、ドリンクの入ったタンクの半分を持つ。小さい京子と、そこそこ背丈のある翼。凸凹のコンビで、エッチラオッチラゆっくりとベンチまでタンクを運んでいった。
その様子たるや、中々に微笑ましいものがあった。
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「え?外野の練習?」
「そうだ。鷹合は今日から外野ノックに入れ。投手練習はノックの時間中には禁止。分かったな。」
ある日の練習前に、鷹合は浅海に呼び出された。
そして告げられたのは、外野ノックに参加して守備練習を行う事。これまで鷹合はノック中には走り込みやトレーニング、投げ込み等の投手の練習をしている事が多く、ノックにはブルペンが空いていない日に時間潰しに入るくらいだった。
それが今、ノック時間中の投手の練習を禁止された。
「えぇ?俺、ピッチャークビなってしもたんですか?」
鷹合は落胆を隠し切れない表情を見せた。
投球内容としては、昨秋、今夏と大量失点で敗れている為クビになってもおかしくはないが、一方で新聞に取り上げられる程のポテンシャルを見せたりはしてるので判断が微妙な所である。
見限るか、覚醒を待つかの判断が。
「いや、ピッチャーを辞めろとは言ってない。ただ外野の練習をしろというだけだ。投げない時は君を外野で使う。君のバッティングを投げない時に使えないのは勿体無いからな」
「あぁ、そうゆ
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