暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
オリジナルストーリー 目覚める破壊者
59話:希望(ひかり)≠ノ手を伸ばせ
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始めたのだ。それを見たクロノは、思わず言葉を詰まらせた。他の四人も、氷の中の変化に気づいて表情を硬くした。

クロノはかつて、彼に『怪人にはどんな種類がいるんだ?』と疑問を投げかけた事があった。ある程度種類があれば、もし仮に出会ってしまったとしても対処のしようがあるかもしれない。そう思ったからだ。
だがその質問に彼は即座に、それはもう一瞬にして答えた。

『ほぼ無限だ』、と。

曰く、中には人を簡単に凍結させ、それを砕いて殺す者もいる。
曰く、人が通常感じられない、目にも映らない(・・・・・・・)ような速さで動く者もいる。
曰く、飛行能力を持っている者もいれば、逆に地底での行動の方が優れている者もいる。
それぞれが千差万別。似たような能力があっても、完全に似た能力を持つ怪人など、存在することこそ稀なのだと。

それを聞いた時、クロノは軽く絶望した。それではなんの対処のしようがない。聞くんじゃなかったと若干後悔した。
そしてそんな彼の言葉の中に、確かにあったのだ。

『高熱、高温を操る怪人や、火や炎を扱う怪人もいる』、と。

今まさにその怪人達が、クロノが使った『極大の凍結魔法』からの脱出を図り、自らの能力で氷を解かそうとしているのだ。
あまりにも理不尽すぎる。クロノは思わず舌打ちをしてしまった。こうも数がいると、何をやっても無駄に思えてくる。

「―――…だけど、今は怪人達の攻撃は来ないよ」

急にかけられた声に、クロノは少し驚く。顔を上げると、目の前には、手を差し伸べてくるユーノがいた。

「今の内に、しっかり休んでおこう。何が起こるかわかったもんじゃないしね」

確かにそうだ。怪人はまさに未知数の塊。こっちが根気よく戦っても、このままでは押し切られるのは必須。だから休める時に休む。これも重要なことだ。
クロノはユーノから差し出された手を握り、引っ張ってもらう。

「…まさか、フェレットもどきに諭されるとはな」
「フェレットもどきって言うな!」
「おぉそうだった。魔力適合が進んだんだったな。悪いな淫獣」
「それもやめろって言ってるだろ!?」

はぁ、とクロノは一息入れてから、視線をシャマルに移す。

「シャマル、今の内に皆の回復を頼みたい。特に前衛で頑張ってくれた、アルフとザフィーラに」
「了解」

クロノの指示を受け、シャマルはアルフ達の元へ。クロノはそれを見届けると、ゆっくりと視線を氷山の方へ移した。

そうだ。ここで倒れる訳にはいかない。少なくとも、あの三人が彼を救い出すまでは。だからこその休憩だ。

「…来い。お前達がいくら強かろうと、僕達は折れたりしない…!」

段々と氷山が解け、所々にヒビが入っていく様を見ながら、クロノは口を開いてそう言った。



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