暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
オリジナルストーリー 目覚める破壊者
59話:希望(ひかり)≠ノ手を伸ばせ
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ぶ。
まだ何も言えてない。『ありがとう』も、『いつもごめん』も、何もだ。今まで何度も助けてもらったのに、今の今まで一度も。
だからこそ、今度はちゃんと言おうと思っていた。お前がいたから自分達は助かった、ありがとう、と。
―――でも、今度は礼も言わせてくれない。
そう決めていたのに、記憶がないとはなんだ?これじゃあ礼を言ったところで、何にもならないじゃないか。
「言わせろよ…礼の一つぐらい…!」
頭ぐらい、下げさせてくれよ。まだ今まで助けられた分、何一つ返せてねぇんだ。
「あたしが叩いて記憶が戻るんなら、何度だって叩いてやる」
だから、戻ってきてくれよ……
「だから、てめぇを相手にしてる暇は……ねぇんだよぉぉっ!!」
「でやぁああああ!」
「うりゃぁあああ!」
魔力を付加させた拳を振り、アルフとザフィーラは怪人達を打ち負かす。
だが、流石に数が多すぎる。一旦怪人達から距離を取った二人は、一様に肩を上下させていた。
二人の体力でも、限界という壁に近づいていた。
「クロノ、このままじゃ…!」
「わかってる!使いたくはなかったが…やるしかない!」
そう言ってクロノが取り出したのは、S2Uではなく、かつての師匠とその主から託された魔導の杖―――デュランダル。
「皆、怪人達をできるだけ一か所に!凍結魔法で一気に動きを封じる!」
「「「「了解!」」」」
「チェーンバインド!」
「鋼の軛!」
「ストラグルバインド!」
「クラールヴィント、お願い!」
それぞれが魔法を行使し、怪人達の行動を限定していく。じりじりと追い詰めながら、四人は怪人達を一か所に集めた。
「―――詠唱完了、行くぞ!」
〈 Eternal coffin 〉
その掛け声と共に四人は一斉に距離を取り、クロノはランクSオーバーの高等魔法を発動。
放たれた冷気を一気に駆け巡り、そして一瞬にして怪人達を巻き込んだ氷山を作り上げた。
「はぁ…はぁ……くっ…!」
「クロノ君!?」
それを視認したクロノは、片膝を地面につける。近くにいたシャマルがすぐにやってきて、回復魔法を使用する。
成功したとは言え、こんな戦闘中での使用は初めてだった。前回はこれを使うまで自分は他に魔力を使っておらず、尚且つ他の皆が攻撃をしていてくれたおかげで、詠唱を完了させ万全の体勢で放てたのだ。
しかし今回は発動前までに大技をいくつか使い、かつ魔力を完全に回復させる暇などなかったのだ。疲労感は前回の倍以上だ。
「でも…これでここにいる怪人達はもう…」
動けない。そう言おうとした矢先だ。
氷の中にいる怪人の数体が、赤く発光し
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