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書く執念
第二章
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第二章

 一緒に置かれているスプーンを手に取りテーブルの上にあるソースを卵、カレーの上のそこにあるそれをかけてカレーを掻き混ぜて卵、ソースと混ぜてからだ。
 カレーを食べるのだった。そして食べ終えてまた書くのだった。
 書くことが一段落してから勘定を済ませて店を出てだ。向かったのは。
 難波、その洋食店のあった場所の煙草屋だ。そこの入り口でだ。
 彼はだ。店の娘さんにこれを頼んだのだった。
「ヒロポン頼むわ」
「ヒロポンですか」
「そや、それ頼むわ」
 こう娘さんに頼んだのである。
「あるんかいな、それで」
「はい、ありますよ」
 笑顔でだ。娘さんは織田に応えた。そのうえでだ。
 そのヒロポンを差し出した。そしてそれから織田にこう言ったのである。
「これ打ってですよね」
「ああ、仕事するで」
 微笑んでだ。織田は娘さんにそうすると答えた。
「今日もな」
「頑張りますね。ただ」
「ただ。何や?」
「ヒロポンはあんまり打つと悪いでっせ」
 このことをだ。娘さんは織田に心配する顔で告げた。
「ええことはないですよ」
「薬やさかいな」
「はい。ですから」
「ええねん」
 だがそれでもだとだ。織田は娘さんに微笑んでこう返した。
「今は書けたらええねん」
「書けたらですか」
「人間誰でも何時かは絶対に死ぬんや」
 織田が今言うのはこのことだった。
「そやろ?何があっても絶対に死ぬやろ」
「それはそうですけれど」
「そやったらや。ええわ」
 達観している顔と声でだ。織田は言った。
「今はこれ打って頑張って書くわ」
「そうするんでっか」
「それがわしの仕事やさかいな」
 だからだともいうのだ。
「打つで。そして書くで」
「わかしました。ほな」
「おおきにな」
 勘定を払いそうしてだ。織田はヒロポンも買った。彼は家に帰るとすぐにそのヒロポンを打ってからまた書きはじめた。そして疲れを感じるとだ。
 ヒロポンを打ち書いていく。その彼に対してだ。
 編集者、大阪の出版社に勤めている彼が原稿を受け取りに彼の家に来た時にだ。心配する顔でだ。彼に対してこう聞いてきたのである。
「身体大丈夫でっか?」
「ああ、胸のことやな」
「はい。何かまた血を吐かれたそうで」
「聞いてるんかいな」
 織田は編集者の言葉に思わず苦笑いになった。そのうえでだ。
 今は座布団の上に胡坐を書いて机に向かって書いている。そうしながらだ。
 編集者にこう言ったのである。
「耳早いわ。何処で聞いたんや」
「有名でっせ。難波で吐いたって」
「道の往来でな。不覚やったら」
「結核は怖いでっせ」
 怖いどころではない。死に至る病だ。
「何があってもおかしくないんでっせ。それでも」
「いつも言うてるやない
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