第四章
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あんた旦那さんと暫くね。そういうことはね」
「してこなかったっていうのね」
「そうよ。夜はご無沙汰だったでしょ」
「ええ、そういえばね」
「それで。まあ浮気は考えてなかったにしても」
「夜寂しくてなの」
「満ち足りてないとそんな夢も見るらしいし」
悪夢の世界というものはこの世界が満ち足りていれば見ないというのだ。そうした意味でこちらの世界と夢の世界は表裏一体と言えた。
「だからね」
「それで見たのね」
「そういうことだと思うけれど。どうかしら」
「少なくとも今はあんな夢見ないし」
邑子は本当に見なくなった。そうした夢はだ。
「じゃあ。そうかも知れないわね」
「そうよね。で、今は旦那さんと一緒の夢なのね」
「そればかり見るわ。もう満足してるわ」
「それはいいことね。それじゃあね」
「ええ。今日もね」
その今日もだとだ。邑子はにこにことして良子に話した。
「夜も旦那と楽しくやるわ」
「そうするのね」
「あんたはどうするの?」
「私はずっとだから」
「えっ、ずっとなの」
「そう。ずっとそうだから」
だからだというのだ。良子はだ。
「そうした夢は見てこなったのよ」
「そうだったのね」
「そう。何はともあれよかったわね」
「ええ、もうあんな夢は二度と見ないわよ」
邑子は穏やかな、そして満ち足りた笑顔で良子に応えた。そうしてそのうえで紅茶を飲み邑子と話をしながら今夜のことを考えていた。夫と過ごす満ち足りたその夜のことを。
許されなかった浮気 完
2012・4・4
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