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ボロボロの使い魔
『相互理解』
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にして作られたのか、解明できれば自分の研究は格段の進歩を遂げるだろう
彼はそれに狂気乱舞し、そして…。

『彼に聞かなければ解らない』

それが一晩徹夜した、コルベールの結論だった
だが…

「これ…どう言って彼に返せばいいんでしょうか…」

それが目下の彼の悩みである
『少し』などと言いながら『一晩』になってしまった。

今更『落としていたのを拾った』
など言って返すのは少し苦しい気がする。

使い魔の方はともかく、ルイズや生徒達は自分がこういった物に目が無い性格である事を知っている
こんな言い訳で、ごまかす事が出来るだろうか
だからといって『好奇心の赴くままやってしまった』など思われるのも教師としては非常にマズ い
何か上手い、教師らしい理屈をつけてこれを返す事は出来ないものか
彼はしばらく悩み続けた。



「…何だ、こんな朝早くから。」

ルイズにより蹴り起こされた橘は、当然の如く不機嫌な声で彼女を睨んだ

だが

「朝御飯よ、食堂に行くわ」

「行こう!」

「……?!」

その一言で彼は態度をガラリと変えた
そして自分を急かす
まるで、恋人を食事にでも誘うかのような笑顔で
ルイズはあまりの変化に一瞬驚き、次の瞬間腹がたった
コイツは主である自分よりご飯の方が大切なのか
自分は、たかが平民が作るご飯より下だというのか
橘の態度を勝手に曲解し、憤っている彼女ではあるが、おそらく大きく間違ってはいないだろう
橘を召還した彼女が、彼にしたことといえば、一方的に自分の意見と常識を押し付け、罵倒し、 寝ている彼に蹴りを見舞った事くらいなのだ
彼でなくとも、そんな相手に好意を持てるものはいないだろう
本質的に優しく、また幾多の修羅場を乗り越えてきた橘だからこそ不機嫌な顔一つで耐える事が できるのだ。

…過去の彼であれば、無体な理由で自分を酷使しボロボロにしようとする者など

『薄汚たねぇ野郎だ!』

と腹を殴ったかもしれないが。


「どうしたんだよ、早く行こうか」

「…煩いわね!わかってるわよ!」

橘とは正反対の顔をしながらも、ルイズはしかし考えていた
そんな顔をしていられるのも今の内だ
朝からメイドに使い魔の食事について命令しておいたのだ
それが何であるかを知れば、彼も態度を改めるであろう

そう考えながらルイズはドアを開ける
そして、対面にある部屋を目に入れた彼女は一瞬身構え、そして思い出す

今、その部屋は無人である事に。

キュルケ

それがその部屋に住んでいた生徒の名である
ルイズは彼女の事が嫌いだった
ヴァリエール家とツェルプストー家には因縁があったが、それを差し引いても尚、ルイズは彼
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