『相互理解』
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そう、それは橘の物だったのだ。
ジャン・コルベールは夢を持っている
この世界にはこびる魔法第一主義を崩したい
魔法ばかりを第一とする貴族に貴族であるメイジ達に、それが力の全てでは無いことを知らしめたい
その願いは、貴族と呼ばれる者達が全てにおいて優先される、この世界においては余りに異端である
だが、彼は自身もトライアングルのメイジでありながら、他の貴族達の様に平民を蔑視する事を 酷く嫌っていた
魔法は決して、万能の力ではないのだ
魔法で技術を要する芸術品は作れない
魔法で美味い料理を作る事はできないし、
洗濯も掃除もできない
だが、平民と呼ばれる彼等が持つ『技術』と、貴族達の『魔法』を併せる事ができたなら、
それは一体どれほどの成果を生み出すだろう。 この世界の文化は間違い無く、一段上に進む事ができるのだ
そして、互いの力を認め合う事ができれば『魔法』この一つを根幹として成している『貴族』と 『平民』の間にある理不尽な差別も無くすことができる
コルベールはそれを理想とし、教師として働く傍ら、自分達の常識である『魔法』では無く、別の『力』を魔法以外で生み出すために努力していた
それは橘の世界で『科学』と呼ばれるものではあるが、
彼のそれは未だ成果をだせているとは言い難く、作り出したものはガラクタの数々だけだった
それを見た生徒達が自分を変人扱いをしているのをコルベールは知っているが気にしていない
例え今、自分がどれほど馬鹿にされようと否定されようと
この研究が後に身を結び、この世界に住む人々に貢献する事ができるなら
自分はそれで満足なのだ。
コルベールは器の広い、高潔な人物である
…だが、同時に好奇心を抑える事の出来ない性格でもあった
ルイズが橘を召還した直後
『ゼロのルイズ』が『平民』を召還した事ばかりに気をとられていた生徒達の誰も
そして、本 人達も互いに言い争うばかりで、気にせず、忘れてしまっていたのだ、彼が持っていた物に、身 を起こす際に破けかけていたポケットから転がり落ちた物に
そして、それは今、彼の机の上にある
勿論、彼は断じて盗みを働くような人物では無い
これが仮に財布だったとすれば彼は微塵の迷い無く持ち主に返した事だろう。
だが、これを拾い上げた時
直感的に感じたのだ
これは自分が目指している物だと
沸き立つ知的好奇心を抑える事ができなかった彼は
少し、ほんの少しだけ
その道具を『借りる』事にした。
…こっそりと。
そして、ディティクトマジックの結果
確かにこの道具と絵から
少し妙な反応だったが『魔法』に近い力をもっている事が判明した時、コルベールは確信した
これは『魔法』(的な何か)と『技術』が融合して作られている物だ
これが何であるか、いか
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