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相棒は妹
志乃「こんなところで止まってんな」
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ったんだなあの時の俺。

 でも、俺は何でか中学校に入っても剣道をやった。まぁ、剣道以外何のスポーツも技能も無かったからだけど。

 俺はクラブの中でも弱い方で、俺より出来る後輩に面を取られる事なんてしょっちゅうだった。バカにした態度で接してくる後輩が嫌だったりした。

 だから、俺は他の奴らに遅れを取らないように部活動でも剣道をやった。他の中学校との合同練習にも積極的に参加して、クラブ練習と合わせ、少しずつ勝率を上げていった。

 「中学卒業で剣道を辞める」。俺は中学三年の四月に親にそう言った。二年前の話だけど、俺の脳裏には深く刻み込まれている。

 なのに、俺は何で高校進学の時に、剣道をやろうって思ったんだろう。辞めるんじゃ無かったのか。

 その時、俺は気付いた。俺は剣道が好きなんだって。弱くて、練習して、勝利してを繰り返して、俺は剣道が嫌いじゃなくて、好きになってたんだって。

 俺が目指した高校は、地元から一時間程掛かるところにあった。そこの剣道部は、地元の高校より強く、練習量も多いと聞いていた。

 スポーツ推薦で入る奴もいるらしくて、俺のような弱者が入って大丈夫なのか、少し不安にもなった。でも、そこで止まったら終わりなような気がした。

 だから、俺は……


 「兄貴、こんなところで止まってんな」


 ……誰だ、俺の回想シーンを邪魔したクソ野郎は。パソコンの話から入って主題に移るリズムの良さにちょっと感動してたのに。

 まぁ、階段で回想に浸ってたわけだから、そう言われても仕方無いか。うん、考えてみると俺が邪魔だったな。

 階段の中間に突っ立っている俺は、声の聞こえた方へと頭を動かす。勿論、それが誰なのかは分かっている。

 小さい顔に乗っかっているのはおさげの髪、首元にはいつもヘッドフォンを下げている。くりっとした目が何とも愛らしい。……何故か中学時代の体操服を着ているのが気になるのだが。

 体操服を除き、見た目はとても可愛くて、守ってあげたくなるような雰囲気を醸し出しているが、それはあくまで見た目だけの話だ。こいつは生意気で口が悪い。その上筋金入りの負けず嫌いなので、正直面倒くさい。

 葉山志乃。一つ年下の妹。今年で高校一年生になる。最近はほとんど会話してないな。……別に話す事も無いしな。

 俺がスポーツをやってた一方で、こいつは文化系に手を入れていた。ピアノを小学二年生の頃始めて、今はかなりの実力者らしい。俺とは真逆のタイプだよ、こいつは。


 「もう一度言うけど、そんなところで止まってんな」


 あぁくそ、口悪ぃ妹だな。少しは女っつー自覚持てや。


 「はいはい、悪かったよ」


 でも、俺は特に不満を言う事も無く引き下がる
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