第三章
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第三章
「あんたが寝れないってこと」
「気付いてはいるけれど」
「夢のことは知らないのね」
「どうしたんだって思ってはいるわね」
そうは思っていてもだ。それでもだというのだ。
「私は何も言ってないから」
「じゃあ知らないのね」
「そう、怪しいって思ってるだけなのよ」
「成程ね。それじゃあね」
「どうすればいいのよ」
「旦那さんに話したら?寝れないってこと」
そしてだとだ。良子も邑子に対して言ってきた。
「それで夢のこともね。勿論私がその話をしたこともね」
「言っていいの?」
「だって。あんたに話したのは事実だから」
だからいいとだ。良子も言うのだった。
「そうしていいから」
「寝不足解消の為には、なのね」
「寝不足って結構深刻なのよ」
良子はそうしたことがわかっていた。既にだ。
「だから言えばいいのよ。ちゃんとね」
「ううん、けれど」
しかし話が浮気という夫婦の仲では話に出すこともいささか憚れるものだからだ。邑子は躊躇した。確かに元ヤンだがこうしたところは繊細なのである。
「それはね」
「抵抗あるの?」
「あるわ」
その通りだとだ。邑子もはっきりと答える。
「どうしてもね」
「そうなのね」
「言いにくいわね」
「困ったわね。それじゃあどうしようかしら」
「今は様子を見るわ」
何の解決にならないことはわかっていた。ただ問題の先送りだとだ。だがそれでも邑子はこの選択を選んだ。本当にとりあえずは先送りにしたのだ。
その選択を選んでだ。邑子は良子に言った。
「そうするからね」
「わかったわ。じゃあね」
「ええ。また何かあったら考えるから」
こう話してだ。邑子は暫くはこのままでいった。しかしだ。
悪夢は続く。毎日毎日見た。そしてその度にうなされ寝不足は深刻になっていった。そしてそんな妻にだ。憲伸は食事中に怪訝な顔で妻に言った。
「おい」
「何?」
「本当に御前最近どうしたんだよ」
二人で座るテーブルの向かい側にいる妻にだ。彼は問うたのである。
「毎晩うなされてな。寝不足だろ」
「別に。毎日ちゃんと寝てるわよ」
「そうは見えないけれどな」
憲伸は邑子の作った味噌カツを食べながら言い返した。おかずはその味噌カツをメインにして海苔の味噌汁にザワークラフト、そしてミニトマトだ。
そうした味噌の多いおかずを食べながらだ。妻に言ったのである。
「毎晩うなされてな。本当に何があったんだ」
「それは」
「何でもいいから言ってみろ」
憲伸は妻に強い声で言った。
「どうしたんだ、本当に」
「言っていいの?」
「御前が浮気とか借金とかしない奴なのはわかっている」
邑子は異性関係だけでなくだ。金銭についてもしっかりしているのだ。所謂節約主婦タイ
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