As 15 「騎士達の帰還」
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大な槍を出現させる。
高町はバインドされたままであるため、俺がどうにかする他ない。しかし、できるだろうか……この満身創痍の身体で。
「……いや、できるかできないかじゃない。やるしかないんだ」
不気味な大槍が高い唸りを上げて再度飛来してくる。もう一度斬り捨てようと動き始めるが、左の剣が手をすり抜けてしまった。落下するそれを素早く掴むが、この一瞬が仇となり迎撃する時間を失ってしまう。
だったら、受け止めて軌道を逸らすまでだ。
下から悲鳴に似た声で名前を呼ばれるが気にしている場合ではない。あの子はこの場に残されたたったひとつの希望だ。守らなければ全てが終わる。
交差させた剣と巨大な槍がぶつかる――まさにそのときだった。
突然、雷鳴にも似た剣閃が巨大な槍を斬り裂くように一直線に走った。瞬きをした次の瞬間には、真っ二つになる。分断された槍は海へと落ち、大きな水しぶきを巻き上げた。
現れた人影は、白いマントを身に付け大剣と化したデバイスを握り締めている。バリアジャケットの一部やデバイスの形状が変わっているが、見間違うはずもない。フェイト・テスタロッサだ。
振り返ったテスタロッサの顔は、勇気付けられるほど力強い意思を感じさせるものだった。俺と視線が重なると、一瞬ではあるが微笑を浮かべる。俺はそれに「無事で良かった」という想いを込めて微笑み返した。
高町に促されるように、俺達の視線は管制人格へと向かう。
管制人格の目からは涙が溢れ、表情は怒りで染まっていた。彼女もこちらを射抜くように見ていたが、左腕に意識を向ける。
管制人格の左腕には本来の姿に戻ったナハトヴァールの姿があった。奴は管制人格の身体を奪うかのように動き始めている。
間に合わなかったのか、と打ちのめされそうになったときだった。
『外で戦ってる方、すみません。協力してください!』
その声は間違えようはなかった。
――そうか……お前も戦ってるんだな。なら俺がここで折れるわけにはいかない。
『この子についてる黒い塊を……!』
そこで声が途切れ、管制人格から衝撃波のような絶叫が響いてくる。彼女も苦しんでいるのだ。
『なのは、ショウ!』
「ユーノくん!?」
『フェイト、聞こえてる?』
「アルフ」
モニターが現れたかと思うと、徐々にユーノとアルフの顔が映った。
ユーノが言うには、融合状態で主が意識を保っているため、今ならば防衛システムを切り離せるかもしれないというのだ。
「ほんと?」
「具体的に、どうすれば!」
『純粋魔力砲で黒い塊をぶっ飛ばして。全力全開、手加減なしで!』
俺達は一斉に顔を見合わせた。
高町のために簡潔にしたのだろうが、それでも充分に伝わるだけにさすがはユーノというべきか。
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