As 15 「騎士達の帰還」
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ない。それどころか、ダメージを負っている様子さえない。
あれで無傷となると……残された手は高町の残留魔力をも利用する集束砲撃しかないか。ただあれには時間がかかる。どうする……いや、どうにかするしかない。
「もう少し頑張らないといけないな……君も頑張れるよな?」
「……うん!」
高町は意識を切り替えられたようで凛とした顔に戻った。
視線を管制人格へと戻すと、彼女は悲鳴にも似た雄叫びを上げ始めた。先ほどまでと違って、明確な感情が表情に表れている。こちらに視線が向いた瞬間、殴りかかろうと接近を始めた。
高町がすぐさま速射砲を放ち、数発命中。しかし、管制人格はまともにもらったにも関わらず止まらなかった。彼女は今、俺達を打ち倒すことだけ考えているのかもしれない。
高町をやらせるわけにはいかない、と思った俺は2人の間に割り込み、襲い掛かってくる拳を受け止めるべく左右の剣を構えた。
「うおおッ!」
「ぐっ……」
受け止めた次の瞬間、左右の剣は弾かれていた。左腕にまともに力が入る状態だったならば、違った結果があったかもしれない。
「沈め!」
がら空きの腹部に渾身の拳が撃ち込まれた。
息が詰まったかと思うと、身体の中を何かが逆流する感覚に襲われる。それを認知したときには、すでに後方へと吹き飛んでおり、岩盤に思いっきり背中を打ちつけた。衝撃によって再び息が詰まる。
「……かはっ」
声が漏れるのと同時に全身の力が抜けた。左右の剣が手の間からすり抜けていく。
――ま、不味い。
視界には追撃を行おうとしている管制人格が映っている。この追撃をまともにもらえば動けるかどうか分からない。
歯を食いしばり全身に力を込める。落ち掛けていた2本の剣を握り締め、身体の前で交差させ防御魔法を展開。展開が完了するのと同時に管制人格の一撃が叩き込まれる。
「諦めろ! お前では私に勝てん!」
「俺は……勝ちたいんじゃない。……助け……たいんだ」
「ッ……ならば、強引に眠らせるだけだ!」
防御魔法を破壊し俺を打ち倒そうと、管制人格は大きく拳を引いた。だが突如、轟音が響き始める。彼女は反射的に回避行動を取り、次の瞬間には彼女が居た場所を桃色の閃光が駆け抜けた。
「――お前達がいなければ!」
標的を高町に変更した管制人格は、声を上げながら全速で向かっていく。
高町も応戦するが、防御を捨て攻撃に専念する管制人格の前に防戦一方だ。助けに入りたいが、戦闘場所の移動が早すぎる。ダメージの抜けていない今の状態では追いつくことができても何もできない。
「きゃあ……!」
防御を破られ海面へと落下した高町を、管制人格はすぐさま回りこんで海面付近で蹴り飛ばした。高町は衝撃で真横に吹き飛び、
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