As 15 「騎士達の帰還」
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、誰かに抱き止められる。考えるまでもなく高町だ。
制止がかかるかと思ったが、減速はほとんどせずに海へと向かって行く。一度管制人格の視界から外れようとしているのかもしれない、と判断した俺は減速を駆けないことにした。
――だがこのまま海面に衝突すれば、衝撃によって高町にダメージがあるはずだ。現状で優先すべきことは、俺の意思ではなく彼女を守ること。管制人格の防御を貫けるのは彼女しかいないんだ。
そう判断するのと同時に行動を起こす。高町が抵抗するような意思を見せたが、それを強引に押し切ることで、どうにか海面付近で体勢を入れ替えることに成功した。直後、海面に衝突し衝撃が身体を駆ける。それによって空気を吐き出してしまった。
普段ならば反射的にそのまま海面に出ようとしていただろうが、上空には管制人格が待ち構えているはずだ。片方の剣を鞘に納めて、高町の手を引きながら適当な方向へ移動し始める。限界まで潜水し距離が取れただろうと判断した俺は、高町と共に海面へと上がっていく。隆起した岩盤に上がり、身を潜めながら管制人格の様子を窺う。
「はぁ……はぁ……」
「ショウくん……大丈夫?」
「少し……水を飲んだだけだよ。……君は?」
「……大丈夫。まだやれるよ」
頼もしい言葉であるが、敵は化け物じみた強さだ。戦闘が長引けば、心に亀裂が入りかねない。
……彼女を相手に長時間戦闘をできるか分からないか。高町はまだしも、俺は本気で魔法を使用し続けなければすぐさま戦闘不能になりかねない。それに崩壊までのタイムリミットもある。あとどれくらいの時間が残っているのだろうか。
そんなことを考えていると、左手を握り締められる。首だけ振り返ると、力強い瞳が俺を見ていた。
「大丈夫だよ。私達はまだやれる。フェイトちゃん達を助けられるよ」
「……前から思ってたけど、君ってそういうことを簡単に口にするよね」
「こういうときこそ前向きに、だよ」
「……そうだね。ありがとう、何だかやれる気がしてきたよ」
漆黒の剣を地面に突き刺して、高町の手をそっと握る。その行動に彼女は驚きを見せるが、すぐさま凛とした顔に戻った。
高町は残っているマガジンの数を確認し始め、俺は濡れた前髪を目に掛からない位置に退けながら管制人格の様子を窺う。
「マガジン残り3本。カートリッジ18発……」
「多いようで少ないな」
「うん。思いっきりの一発を撃ち込めればいいんだけど」
「……確かに状況を変えるにはそれしかない。俺が何とか足止めするしかないか」
地面に刺していた剣を引き抜いて、管制人格の元へ向かおうとすると肩を掴まれた。視線を向ければ、心配そうな目でこちらを見ている高町の姿が映る。
「無茶はしないでね」
「……君は無理な注文をする子だな。自分のほう
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