第二章
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第二章
「トラウマになりそうよ」
「浮気はしないに限るわね」
「全くね」
二人でだ。こう言い合うのだった。そしてそれからだ。
邑子は実際にだ。それからだった。自分が歯を抜かれ三日間放置され生きながら壁に埋め込まれる夢を見るようになった。それこそ夜になるとだ。
毎晩毎晩見てうなされる様になった。その妻にだ。
夫の憲伸はだ。こう言うのだった。
二人は今ベッドの中にいる。その中でうなされている妻を起こしてだ。彼は怪訝な顔で尋ねた。
「おい、どうしたんだよ」
「えっ?」
「うなされてな。本当にどうしたんだよ」
妻を心から心配する顔で見てだ。彼は広い額のその顔で妻を見ていた。
「最近毎日じゃないか」
「ああ、ちょっとね」
「ちょっとって。何だよ」
「変な夢ばかり見るのよ」
どういった夢かは言わずにだ。こう夫に答えた邑子だった。
「何ていうかね」
「何かって何だよ」
「何でもないわよ」
流石に自分が浮気してそれで夫、つまり憲伸に殺される夢を見ているとは言えずにだ。邑子は夫に対してこう言い繕ったのである。
「特にね。ただね」
「ただ。何だよ」
「あまり寝られないから」
どうかといってだ。そのうえでだ。
邑子は一旦ベッドから出た。白い所謂ネグリジェの寝巻きだ。ただし透けてはいない。
その姿でベッドから出てだ。夫に対して言ったのである。
「お酒飲んでくるわ」
「それで寝るんだな」
「ええ、そうするわ」
「それはいいけれどな」
憲伸は酒を飲むのはいいとした。しかしだった。
ベッドから上体を起こして部屋を出ようとする妻にだ。怪訝な顔で尋ねた。
「本当に最近どうしたんだ」
「うなされてるっていうのね」
「そうだよ。しかも毎晩じゃないか」
「何でもないから」
またこう言う邑子だった。
「本当にね。何でもないから」
「そうか?」
「そうよ。じゃあウイスキーちょっと飲んでまた寝るから」
「あまり飲み過ぎるなよ」
「わかってるわ」
こうした時のお決まりのやり取りをしてからだ。邑子は寝酒を飲んでまた眠りに入った。この時はこれで終わった。けれど次の日にはもうだった。
やはりその夢を見た。歯を抜かれ血だらけになり鎖で縛られて置かれ挙句には壁に生きながら埋め込まれる。その夢を再び見たのだ。
それでまたうなされる。当然あまり眠れない。そうした日が続きだ。
邑子は自宅から携帯でだ。こう良子に言ったのだった。
「もうね。最近ね」
「声疲れてる感じね」
「寝れないのよ」
実際にそうだというのだった。
「もうね。全然ね」
「あの浮気の話で?」
「そう、それでよ」
たまりかねた口調でだ。邑子は電話の向こうの良子に言った。
「もうね。毎日夢に出てね」
「
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