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少年と女神の物語
第六十七話
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いなら、この機会にずっと気になってたことを聞くとするか。

「ねえ、ママ。何で俺は、カンピオーネになれた(・・・)の?」
「どういうこと?」
「だって、あの時・・・」

 その瞬間に、意識が一気に薄れていく。
 クソ、このタイミングで戻るのかよ・・・!

「ムソー。・・・は確かに・・・・・・・・、あたしに認め・・た。―――素直に誇りなさい」

 最後の一文だけはやけにはっきりと聞こえて、俺の意識は戻っていった。



◇◆◇◆◇



「ゲホッゲホッ・・・肺に水が・・・」
「あ、ムー君。よかったぁ・・・」

 目の前に見えたのは、安心しきった顔でほんわりと笑う林姉。
 その手に何もないということは、俺の治癒は林姉が直接した、ということだろう。

 そう考えて罪悪感に蝕まれながら、咳き込み続けてどうにか肺の中から水を全部吐き出す。
 途中でさっき掌握した権能を使って、肺の中の水を全て空気に変えれたのはよかった。

「さて・・・とりあえず、戻る?」
「そうだね~、海の上にずっといても仕方ないものね。跳躍の術でもどろっか?」
「いや、それよりも・・・」

 俺は今、新しく権能を掌握したことで軽く興奮状態になっている。
 要するに、この権能を使いたくて仕方ないのだ。

「変幻せよ、汝は船である」

 今俺たちが乗っている海草を、俺のイメージ通りの姿に変える。
 船とは言ったが、実際に変えた姿はエンジンつきの小さな船。
 まあ、二人で移動するならこれくらいでいいだろう。でかすぎても目立つし、扱いづらいし。

「操縦は出来るの?」
「操縦の知識もまた、人間の知識だからね」

 人が得る知識の全ては、片手間で手に入れることが出来る。
 操縦のための知識は簡単に手に入ったし、何かあったときの急速な反応は簡単に出来る。
 本当に最悪の事態のときには、海草を操ってクッション代わりにするなり何なりの対応が出来る。
 そうして潜った位置まで戻り、そこでわざわざ待機してくれていた生徒会の皆と合流する。

「どうも、皆さん。今回は色々と迷惑をおかけしました」
「気にしないでください。それに、今回はかなり被害が少ないですし」
「少ないというか、皆無だな」
「はい・・・その分、あちらの方は酷いみたいですけど・・・」

 まあ、護堂と翠蓮のほうはそうなったみたいだな。
 ちょうど今、決着もついたみたいだし。
 にしても・・・この感じだと、まずいことになりそうだなぁ・・・ここは距離離れてるから大丈夫だろうけど。

 それでも、向こうで神様が出てくる以上こっちに絡んでくる可能性もあるし・・・仕方ない、か。

「とりあえず、一つ二つ提案いいですか?」
「なんでしょう?」

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