第百七十二話 会議は踊る
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受け取りを行った2個艦隊はヴァンフリート星系で海賊退治と称して出撃した2個艦隊、更にランテマリオ星系で訓練中と称している1個艦隊と合流し5個艦隊になります、司令部直轄艦隊を含め総数は70000隻となります」
「成るほど、しかしそれだけでは要塞攻略準備だけとしか成らないのでは?」
「其処で今回の捕虜交換を利用します」
「捕虜交換を?」
フォークは合点のいかないクネを情報部がフェザーン経由で手に入れたテレーゼ一行のイゼルローン要塞における行動準備表を元に説明し始める。
「皇女は、逆亡命者、捕虜のため新年を祝うパーティーを行うようです。パーティーとなれば、兵の意識も弛緩します。其処を強襲しイゼルローン回廊前面を我が軍で封鎖します」
「成るほど」
「そうなれば、皇女をイゼルローン要塞から脱出させるために一部艦隊を帰還させる事でしょう。其処を叩き皇女を捕殺或いは捕虜にすれば、それと交換でイゼルローン要塞を手に入れることも可能でしょう」
「素晴らしいわ。我々民主主義の敵である悪魔ルドルフの末裔である皇帝の娘を捕虜にする此こそ民主主義の大いなる勝利と言えましょう」
フォークの説明に一人悦に入るクネ情報交通委員長、それを冷ややかに見つめるフォーク。内心では“この阿呆な女は利用価値が有るからな”と考えていた。
宇宙暦794年11月1日
■自由惑星同盟首都星ハイネセン最高評議会ビル
最高評議会では、今回のイゼルローンツヴァイについての対応に喧々諤々とする中、クネ情報交通委員長が発言を求め、発言し始めた。
「今回の捕虜交換は帝国の時間稼ぎですわ。民主主義の大儀のためにも、この様な姑息な手段を執る帝国に裁きの鉄槌を与えるべきですわ」
手を握りしめながら熱弁するクネ。
「しかし、クネ君、時間稼ぎと言っても帝国が捕虜と拉致被害者を帰国させることは決まっていることだ。それを我々自ら放棄するなど市民は許さないだろう」
バーナード副議長が呆れたと言う顔で指摘する。
「副議長、しかしこのまま行けば、みすみす帝国の時間稼ぎにより、イゼルローンツヴァイが完成し、回廊が難攻不落に成りかねません。その辺の責任をどうお取りになるのでしょうか?」
「それは……」
「そこまで言うクネ君には何か妙案があるのかね?」
見かねたアンダーソン議長がクネに問うと、クネは待っていたとばかりに資料を出し説明し始める。
「この資料を見てください。此は宇宙艦隊総司令部からの提案なのですが」
「一寸待ってくれ、私には一言も話が来て居ないが」
クネが自分の職責を犯したと、カスター国防委員長が話を遮る。
それを無視してクネが話し続ける。
「捕虜交換と被害者帰国は受け入れます。其処で一旦艦隊を帰還させた振りを行い、ヴァン
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