獣竜《ウロボロス》
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少年とアリシャ率いるケットシー部隊はケットシー領から東に進んだ所に位置する蝶の谷に来ていた。
周りは霧が深く、視界が悪くなっている。
「いかにも居そうな感じっすね・・・」
「ええ、この先に《ウロボロス》はいるはずだヨ」
《獣竜ウロボロス》それはこのALOの世界に存在する《神龍》の内の一体を指す。
その凶暴性は神龍の中でも一位二位を争うほどと謳われ、その素早さは神龍の中でもシルフ領の神龍の次に速い。そして神龍の中でも随一の視力と嗅覚を持ち、その視力はこの霧の中でも容易に見える。
つまり、今この瞬間にもヤツに見られている可能性があるのだ。
「さて、行きますか。向こうもこちらに気づいてるようですし」
「えッ!?」
「忘れましたか?ヤツの嗅覚は神龍の中でも随一、言うなれば蝶の谷全体はヤツの範囲内ですよ」
そう、ウロボロスの真骨頂は嗅覚にあり、その許容範囲は蝶の谷全体だと言われている。
「そうだけド・・・」
「自分の庭に土足で踏み込まれていい気分なヤツはいない。付け加えるなら、喧嘩上等なヤツが来れば尚更だ」
少年は言いながら奥へと進んでいくなかケットシー部隊も後に続いていく。それから暫く奥に進んだ時の事だった。奥の方から木を薙ぎ倒してくる轟音が響いた。
「ッ、来たか・・・!」
少年は背中に携えたアーチェリーを構える。
ケットシー部隊もそれぞれ武器を構える。背中合わせで周りを警戒すると、事態はすぐに起こった。
少年の目の前に突っ込んできたのは全身が硬い鱗で覆われた竜だった。
野獣を思わせる鋭い眼光、どっしりと地についた屈強な四肢、一撃で死に至らしめる鋭い爪と牙。これが《獣竜》と恐れられた神龍《ウロボロス》の姿である。
「ギャアアアア!!!」
巨大な咆哮をあげると、少年に向かって巨大な爪を降り下ろす。
それを回避すると少年はアリシャに指示を出した。
「アリシャさん!二十秒だけコイツの足止めをお願いします!!」
「りょ、了解!ケットシー部隊、敵を足止めせヨ!!」
「「「はッ!!」」」
アリシャの指示によってケットシー隊はウロボロスの足止めに取りかかった。
その間少年は詠唱を始めた。
「────、───」
「あと少シ!!」
「よし、いいぞ!!」
その声と同時に少年は弓を引く、そして矢の先をウロボロスへと向けた。
「汝に、安らぎを・・・!」
放たれた矢はウロボロスの腹部に命中し、ウロボロスは悲鳴と共に崩れた。
動きがなくなったウロボロスを見てアリシャは、
「や、やったノ?」
「いえ、やってませんよ」
「え、じゃあ・・・」
「自分がやったのは一種の回復魔法に近いものですよ。まあ、睡眠が伴いますが、
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